DREAM INTERVIEW

各界リーダーへの夢インタビュー

山崎 亮
コミュニティデザイナー

地域住民が主人公の公共事業を全国へ
ワークショップなどを通じて住民の意見集約
「つながりなおす」ことが地域の力の向上に

あなたのお仕事について具体的に教えてください。

コミュニティデザイナーです。聞きなれない言葉かもしれませんが、公園や公民館などといった公共施設の設計・デザインに際し、実際にそれを利用する立場である住民の声を反映させることをコミュニティデザインといいます。言葉自体は1960年代にアメリカで誕生しましたが、当初は「ニュータウンの中にどのような形で道路を引いたらいいか」など、文字通りコミュニティを物理的にデザインするという意味合いでした。今のような定義で用いられるようなったのは80年代からです。

私は2000年頃よりこの仕事を始め、これまでに行政からの依頼で、全国で約200のプロジェクトに携わってきました。地域住民とともにワークショップなどを重ね、設計や計画をまとめていくのは数年がかりという根気がいる仕事です。

この仕事を始めたきっかけを教えてください。

もともとは設計事務所に勤務し、行政からの委託を受けて公共施設の設計・デザインを行っていました。公園を例にとると、担当課の課長から「こうした遊具を導入して欲しい」「全体的なデザインはこうしてもらいたい」といった意見・要望を受けて設計するのですが、実はその課長自身は他の自治体に住んでおり、その公園を全く利用しない立場だった、というケースがありました。このように公園を利用する住民のニーズが全く反映されてないケースがあることに疑問を感じ、ワークショップなどを通じて住民のニーズを引き出し、それをデザインに反映させていく必要性を実感しました。

2005年に自身の事務所studio-Lを設立し、現在は大阪・東京の2拠点で活動しています。最近では、実際の施設の設計・建設という「ハード」を伴わない、イベントや祭り、街づくりのプラン作成といった、地域住民を主体とする良質なコミュニティ形成を目的にしたコミュニティデザイン事例も増えてきています。イベントプランナーとコミュニティデザイナーの違いは、そのイベントに地域住民が「お客さん」として受動的に係わるのか、「活動者」として能動的に係わるのか、という点です。

あなたの強みは何ですか?

「対話力」です。コミュニティデザインの主役はあくまでも地域住民です。私は本来であれば黒子に徹しないといけない立場です。しかし、実際に住民に集まってもらいワークショップの場などで「どのような公園がいいですか」と意見を出してもらおうと思っても、なかなかスムーズに出て来るものではありません。それは「意見を持っていない」のではなく「自分が率先して口火を切るのははばかられる」「自分の意見が受け入れられなかったら恥ずかしい」などの遠慮などによるものです。そういうときには、私は率先して喋って、住民が気軽に意見を発しやすい雰囲気を作りだしていきます。そうした「火付け役」としての能力については長けているのかもしれません。

また、コミュニティデザインは「アイスブレイク」「ワークショップ」「チームビルディング」という3つのステップを経て行われます。地域によって住民の年齢層、地元に対する意識、住民間の交流の密さなど様々な違いがありますので、それぞれのステップで用いる手法を使い分けなくてはなりません。ここで誤った手札を切ってしまうと、住民間で意見の対立を生んだり、プロジェクトそのものに地域全体で反対されてしまったりと良くない結果につながりかねません。

当社には私を含めて20名ほどのスタッフがいますが、全体で「アイスブレイク」「ワークショップ」「チームビルディング」それぞれに100種類ぐらいの手法を身に付けています。100×100×100で100万通りの手法の中から、その地域の現状や課題に見合った最適なものを提供し、住民全員が納得する形でプロジェクトを進めていける「引き出しの多さ」が強みです。

あなたの使命とは何ですか?

「地域の人たちが『つながりなおす』ことで、地域の人たちが住みやすい場所を生み出す」サポートをすることです。例えば「ママ友」「同じ職場」などの人間関係は、その人のほんの一部分を介してつながっているだけです。相手の経歴、得意なことなどのパーソナルな部分については知らないことも多いのではないでしょうか。ワークショップなどを通じて、これまでの関係や今の立場・肩書きにとらわれずに新たな気持ちで人間関係を構築することで、新たな気づきが生まれ、これまでできなかったことの実現が可能になるのではないでしょうか。

最後にあなたのこれからの夢を聞かせてください。

全国の自治体の中でもコミュニティデザインの重要性を認識していないところはまだまだあります。また、認識していても熱意がある一担当者がインターネットなどで調べて我々に依頼してくることが多く、その担当者が人事異動で他部署に行ってしまうと、コミュニティデザインへの取り組みが白紙に戻ってしまうケースがあります。まずは一つでも多くの自治体にコミュニティデザインの必要性について認識してもらい、公共事業に際しては導入することを原則化してもらうようにすることです。

また、これは仕事とは直接関係ありませんが、私自身が設計士でありながらコミュニティデザインに係わるようになってから「自分でものをつくる」機会が減ってしまいました。そこで最近は陶芸をしたり、絵を描いたりと形があるものの制作に時間を割いています。こうした創作活動に力を入れていきたいと思います。

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