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DREAM INTERVIEW

各界リーダーへの夢インタビュー

小関健太郎
株式会社橙代表取締役 フリーランス介護講師
株式会社橙 フリーランス介護講師 小関健太郎

介護講師歴14年の経験元に訪問介護事業開始。サブスクで保険外サービスなど新スタイル目指す

――あなたのお仕事について具体的に教えてください。

2024年1月25日に訪問介護事業を手掛ける「橙(だいだい)」という会社を新たに立ち上げ、代表に就任しました。また14年に渡り、フリーランスの講師として福祉系の学校や介護初任者研修・介護実務者研修、介護事業者の社内研修などのさまざまな場で人材の教育・育成に携わっています。

スペシャリストと一緒に最も高い専門性が求められる訪問介護を

――この仕事を始めたきっかけを教えてください。

橙は私の教え子である2人と一緒に立ち上げました。「いつかは一緒にやろうか」という程度の話はだいぶ前からあがっていたのですが、具体的に準備を始めたのは2年程前からです。話をしていた教え子のうちの1人がある介護事業者からスカウトを受けており、自分の進むべき道について迷っていました。そこで「ほかの会社に行くぐらいなら私と一緒にやったらどうだろう」と急に話が進みました。

自身で介護保険サービス事業所を運営することについては、正直なところそれほど強い興味や関心はありませんでした。ただし、私は「介護サービス従事者の中でも、利用者と常に1対1で接し、どのような事態に対しても自分で判断して行動しなければならない訪問介護ヘルパーには、最も高い専門性が求められる」という考えでしたので、事業をやるならばそうしたスペシャリストと一緒に働ける訪問介護がいいと考えていました。

ちなみに、橙は鏡餅の上に載せられますが、これは橙の名前の由来が、冬になっても実が木から落ちないため「代々続く」ことから来ているものであり、それが転じて家や家庭が長く続くことや、長寿などに関わる縁起物になっているからです。これが高齢者介護の考え方に通じることから社名に採用しました。また、オレンジリングなど、介護に関することはオレンジ色がイメージカラーになっているのも理由です。

教育者としての強みを活かし優秀な人材を確保

――あなたの強みは何ですか?

介護事業の中でも特に訪問介護は人材不足が深刻とされています。しかし、私がこれまでに教育者として携わってきた介護人材は延べ5000人、介護福祉士の養成講座だけでも300人います。その中には「私と一緒に働きたい」と考える、そして私が「この人ならば大丈夫」と太鼓判を押せる人材が少なからずいますので、人材確保がスムーズに進むことが考えられます。採用コストを削減できれば、経営面で大きなアドバンテージになりますし、そのコストをヘルパーに還元すれば、さらに優秀な人材の確保につながります。

現在は利用者の獲得を優先して進めている段階なので、本格的にヘルパーの募集・採用は始めていないのですが、すでに7名が入社の意思を示してくれています。

介護の仕事は面白い。肉体労働ではなくクリエイティブ職

――あなたの使命とは何ですか?

今後、要介護の高齢者が増加を続けていく中で、介護人材の確保が国にとっても非常に重要な課題となっていきます。「介護の仕事は面白い」「介護は肉体労働ではなくクリエイティブ職」などといった魅力を積極的に発信し、介護職を目指す人を1人でも増やしていくことです。多くの教え子が、介護の世界で様々な形で活躍しています。彼らの姿やメッセージなどを、SNSを通じて広く伝えていきたいと考えています。

また、訪問介護事業に関して言えば、2024年4月の報酬改定で基本単位が引き下げとなったことで、「会社をたたんでしまおうか」などの全体的に重苦しい雰囲気に包まれてしまっています。こうした中で、私自身が訪問介護事業所の経営を軌道に乗せることが、ほかの事業所に、生き残りや業務拡大のためのヒントを与えることにもつながっていくと思います。

新しいスタイルの訪問介護事業を確立させたい

――あなたのこれからの夢を聞かせてください。

訪問介護事業所にとって「利用者の今までの生活を支える」というのはごく基本的なことであって、そこに独自性をもったサービスをどれだけプラスできるかが今後の差別化戦略として重要になると考えています。その点について橙では、サブスクリプション形式の保険外サービスの提供を考えています。

また社名に因み、橙やミカン、レモンなど柑橘系の果物を用いたジャムや洗剤、入浴剤といった商品を開発・販売したり、それらを活用した介護サービスを提供したりすることも視野に入れています。こうした事業を大きくすることでヘルパーの処遇改善も進み、訪問ヘルパーのプロフェッショナル性がさらに高まります。このような新しいスタイルの訪問介護事業を確立させることです。

チャレンジできるチャンスがあるならば恐れずに挑んで

――最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。

私が20歳で介護職として働き始めて1ヵ月ほどたったころ、勤務先のデイサービスの利用者の中に、書道を教えている女性がいました。彼女が私を見て即興で書いてくれた言葉が「鶏口となるも牛後となるなかれ」でした。この言葉を私自身も大切にしてきましたし、多くの人にも伝えていきたいと思います。

「鶏口」つまり、小さいながらも組織のトップやリーダーとなるチャンスはそうそうあるものではありません。チャレンジできるチャンスがあるならば恐れずに挑んでいって欲しいと思います。その女性が私の顔を見てこの言葉を書いてくれたもの、私自身が将来一介護職としての枠を飛び出す形で活動することを感じていたのかもしれません。同様に、あなたに「チャレンジしないか」との声がかかったのなら、それは周囲の人があなたの能力や可能性の高さを感じとっているからともいえます。

講師として今の若い人と接していて感じるのは「とにかくリスクを取りたがらず、安定を求める」という考え方が強いことです。「鶏口」を目指すのは決して楽な道ではないかもしれませんし、そこには多くのリスクもあるでしょう。しかし、その道を歩むことでさまざまな経験・学びが得られます。それは、あなたにとって大きな財産になるでしょう。

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