あなたのお仕事について具体的に教えてください。
都内の美容クリニックにて「日本で唯一美容クリニックに勤めている薬剤師」として活動しています。ここでは美容皮膚・皮膚科を主に、薬剤師として院内調剤から服薬指導へ携わっています。ただし、自分のメインは別にあり、それは薬の専門家の視点から個々に適したスキンケアを組み立てる「スキンケア外来」を日々行っています。スキンケア外来自体は都内の美容クリニックでも2店舗しかない発展途上の分野です。
また、2024年1月からDMMを通じて「美容のホンネ」というオンラインサロンを運営しています。会費は月額3300円ですがスタート時に280名の会員を集めることができました。このほか、Instagramで「自分のスキルを世に活かしたい」と素敵な想いある方へのSNSに関するコンサルタントをしています。
この仕事を始めたきっかけを教えてください。
以前はドラマ「コード・ブルー」のような救急救命の現場にいる薬剤師として携わっていました。当時の仕事には非常にやりがいを感じていたのですが「何か新しい道を」という思いが強くなりました。
私自身、30歳を過ぎたころから急にニキビなど肌のトラブルを抱えるようになっていました。インターネットやSNSで目につく化粧品やグッズなどを軒並み試してみましたが、思うような効果が得られないばかりか、かえって症状が悪化することもありました。そのときに「もっと医学的な立場からスキンケアを学ぶ必要がある」と実感し行動に出ました。昔からハマり症な性格でして、美容を学ぶことが楽しく、気づいたら寝るのを忘れる毎日を過ごしていました。そこで得た知識や情報をもっと多くの人に伝え、肌で悩む人を1人でも減らしたいと思い、SNSを通じて今の道に進みました。
あなたの強みは何ですか?
スキンケアに関する情報はネットやSNS上に沢山あります。ただ、その情報は誤った情報ばかり。特定の化粧品やグッズを購入させるための内容も多いです。それに対し、私はPR案件を一切せず、医学的知識・経験を元に発信をしてきました。今は、無料で簡単に情報が入ってくる時代です。しかし、それが理由で情報過多になり、迷子になってしまう、肌に悩んでいる人を沢山見てきました。そうした人たちが最後にたどり着く様な場所を提供できることが私の強みです。
もう一つは、個々にあったスキンケアを様々な視点から考えることができる点です。スキンケアも薬と同じで100%合う化粧品はありません。やはり相性があります。ただ、私は患者様には「あなたに合った製品を選ぶことだけが僕の強みではない」「あなたが合わなかった時にもいくつも次のステップを考えられることが僕の強みです」と必ずお伝えします。スキンケアは薬ではないからこそ継続が大事な領域です。日々、自分と出会う方が気持ちよく楽しんでスキンケアに取り組んで頂けることを願っております。
あなたの使命とは何ですか?
3点あります。まずは薬剤師に「新しい働き方」についての道を示すことです。薬剤師は薬局で処方箋を持った患者が訪問するのを待っているだけのことが多く、働きがいを感じられない人もいるのではないでしょうか。私のキャリアや働き方を示すことで、そうした人たちにこれからの人生のヒントを与えることができれば幸いです。もちろん、薬剤師だけでなく医療・介護従事者の方も含め願っております。
2つ目が「医療・介護職の情報発信力の強化」です。彼らが持つ専門的な知識や技術は社会に大きく役立つものですが、総じて発信力が弱いのが難点です。私の仕事のひとつであるSNSのコンサルティングを通じて、彼らの発信力を高めることで、知識や技術を社会全体に広め、日本人全体が心身ともに健康になれる社会を目指します。
3つ目が、「美容情報に関するリテラシーを高めたい人が、気軽に学べる場を作る」です。これは1月からスタートしたオンラインサロンで取り組んでいます。「ここで学ぶことで、これまでのスキンケアにかけていた時間や費用が大きく削減できた」と大変に好評いただいており、一生活かせる美容知識を届ける場をこれからも構築していきます。
あなたのこれからの夢を聞かせてください。
医療職として、何らかの形で名を残すことです。医療職は論文の執筆や書籍の出版で有名になることが多いですが、今はSNSなどさまざまなツールがあります。それらを使って全国的な知名度を持つのが夢です。
今は時間の都合などで忙しく化粧品を何となくパッと選ぶ方も大勢いるでしょう。なので、そうした人たちでも安心して利用できる化粧品を作り上げることが夢です。2024年中には商品化し届けられることを目指しております。
最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。
「今の仕事を辞めて、何か新しいことを始めよう」という気持ちを持つことはとても大切です。しかし、その「新しいこと」が「自分が本当に好きなこと」かどうか、しっかりと見極めましょう。
起業するにせよ、新しい職場に移るにせよ、新たな仕事が軌道に乗るまでには時間がかかります。私自身、スキンケアの専門家として活動を始めた当初は、やるべきことが多すぎて1日3時間しか睡眠時間が確保できませんでしたし、元の救命救急の仕事と2足の草鞋を履く期間も必要でした。本当に好きなことであったからこそ駆け抜けてこられたと思っております。
また、例えば、料理や車の運転などは、いくらマニュアル本を読んだところで実際にできるようにはなりません。調べること、勉強することも大事ですが、実際に行動に移し、実践しないことには何も始まりません。「成功する人=行動した人」です。