—あなたのお仕事について具体的に教えてください。
シニア専門芸能事務所、アンコールプロダクションを運営しています。アンコールプロダクションには、大阪を中心に全国で64-90歳のシニアタレントさんが約50人所属しています。
シニアタレントさんたちが生き生きと輝くことのできる場を作るべく、シニア向け商品などのシニアモデルや、ミュージックビデオへの出演、イベントでのパフォーマンス、学校で戦争体験の話を講演していただいたり、ラジオ・テレビ出演などサポートしたり、シニアモデルのファッションショーの自主開催などを行っています。DJやYoutuber、書道家、ダンサー、アーティスト、カウンセラー、手芸が得意な方、など個性豊かなキャリアや特技をお持ちのタレントさんがおられます。
—この仕事を始めたきっかけを教えてください。
新卒から整形外科の看護師として病院で勤務していて、シニアの患者さんと関わることが多くありました。新人看護師として勤務している時、仕事ができずに落ち込む毎日でした。そんな中「よう頑張ってるなあ」と温かい声かけをしてくれるおじいちゃんおばあちゃんの持つ温かさがすごく好きで、いつも助けられていました。整形外科では骨折などで手術を受けて日常生活に復帰するためにリハビリをするというシニア患者さんが多かったのですが、「家に帰っても何もすることがない」「生きていてもしょうがない」という声がすごく多かったです。
何か自分にできることはないかと思い、小さい頃から続けていたダンス経験を活かして、介護施設などで、介護予防ダンスインストラクターと名乗って活動を始めました。皆さんが知っている昭和歌謡にオリジナルの振り付けをつけて椅子に座ってできるダンスレッスンです。孫のように接していただいたり、毎回楽しみにしてくださるのがすごく嬉しかったです。元々おじいちゃんおばあちゃん子ということもあって、シニアの方の持つ温かさには不思議な魅力があるなと感じていました。
それぞれの長年の人生の中で、その人にしかない魅力がある。輝くことのできる場所があるはずなのに、社会から孤立し、生きがいを見失っているシニアの方と接する中で、何歳になっても輝けるような社会を作りたい。
という想いで、シニア専門芸能事務所の活動を始めました。
—あなたの強みは何ですか?
常識に囚われないところです。(笑)
昔から好奇心旺盛で、人と違うことをするのが好きな人間でした。看護師だからこうあるべきとか、この歳だからこうあるべき、など、〇〇はこうあるべきだというような固定概念を覆したいと思っています。
シニアタレントの方にも無茶振りをすることが多いのですが、モデル経験のない方に「今度こんなモデル依頼があるのですがしてもらえませんか」とお願いすると、「そんなんできるかな」と言いながらも結果的に「自分が知ることのなかった世界が開けたよ、ありがとう」と言ってもらったりします。無理に押し付けるということはしませんが、その人の自分では気づかなかった新たな魅力を引き出すには、私みたいな役割が必要なんじゃないかなと思っています。
—あなたの使命とは何ですか?
シニアの方がそれぞれの個性を活かして輝き、社会と繋がるきっかけを作ること。その姿を見たシニア世代がまた刺激を受けて何かに挑戦したり、若者にもこんなおじいちゃんおばあちゃんになりたいなと思わせたり、そういうようなムーブメントを起こしていくことです。
—最後にあなたのこれからの夢を聞かせてください。
シニアの方がいろんな形で活躍できる場所を増やして、人生の最後に「生きててよかった」と言える人を増やしていきたいです。
日本は世界に先駆ける高齢化社会であり、何歳になっても活躍できるんだ!というロールモデルとなるシニアの方を日本から世界へ発信していくことができる。高齢化をマイナス面から捉えるのではなく、二周も人生を楽しむことができる!と歳をとることが楽しみになるような社会を作っていきたいです。そして、自分がおばあちゃんになった時には、自分の子供たち、孫たちに「人生ってこんなに素晴らしいんだよ」と語りかけるチャーミングなおばあちゃんになりたいです。