高齢者施設中心に320名の患者に訪問医療提供。「最期のステージまでとことん付き合う」がモットー | 介護・看護・保健師の転職サイトaunジョブ

DREAM INTERVIEW

各界リーダーへの夢インタビュー

田中雅美
在宅医

高齢者施設中心に320名の患者に訪問医療提供。「最期のステージまでとことん付き合う」がモットー


――あなたのお仕事について具体的に教えてください。

在宅医です。2010年から在宅の現場で働き始め、現在は大阪市内にある訪問診療専門の天王寺記念クリニックで勤務しています。クリニック全体で診ている患者様の数は約1200名で、そのうち約320名を主に私が担当しています。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など高齢者施設で生活をしている患者様が多いです。

家庭と仕事の両立が図れることが魅力

――この仕事を始めたきっかけを教えてください。

元々は法医学などの研究職に興味があって医科大学に進学しました。しかし、実際に就職をするとなると、なかなかに狭き門であり、卒業後は内科医として市立病院などで勤務しました。

その後、出産・育児のため退職をしました。勤務先は「仕事を続けてもらいたい」と考えていたようですが、家庭を優先しました。6年程現場を離れていましたが、知人の勧めで在宅医として再び現場に戻りました。病院勤務時代から高齢者が好きでしたし、当初は週に1日の勤務で構わないということでしたので、家庭と仕事の両立が図れることを魅力に感じました。今では週に4日勤務しています。

介護職と何でも気軽に話しができる関係性を構築

――あなたの強みは何ですか?

立ち居振る舞いなどが医師らしくなく、親しみやすさを感じてもらえる点ではないでしょうか。私は高齢者施設に訪問することが多いのですが、介護の現場では、介護職と医師や看護師などの医療職との間に、立場の違いによる溝のようなものが生じ、コミュニケーションが十分にとれないことがしばしば課題になります。しかし、私の場合は介護職の人も話しかけやすいのか、誰とでもすぐに仲良くなれます。

私たち在宅医が高齢者施設の入居者に関われるのはごく短い時間だけです。それに対して、介護職の人たちは1日の大半を入居者と一緒に過ごしています。日頃の様子をよく知っていますし、心身の状況の変化などにも気づきやすいでしょう。そうした日々の様子や気づいたことを細かく話してくれるのはとても助かりますし、そうした関係を築くことができるのは在宅医として大きなメリットだと考えています。

また、最近は高齢者施設でも看取りを行うことが一般的になってきていますが、そのことが介護職にとって「自分が夜勤のときに、いざという状態になったらどのように対応していいかわからない」などの不安につながっています。介護職と何でも気軽に話しができる関係性を構築できていれば、そうした悩みや不安の解消させることもできますし、高齢者施設の「看取り力」の強化にもなるでしょう。

想いを大切にしながら、正しい情報に基づいて多くの選択肢を提供する

――あなたの使命とは何ですか?

「最期のステージまで、患者様や家族にとことん付き合うこと」です。
私自身は、人生の最期は病院ではなく自宅や施設で迎えるのがベストだと考えていますが、正解は一つではありません。また、多くの家族にとって看取りは初めて体験することでしょう。どれだけ事前に説明を受け、理屈ではわかっていても、いざそのときを迎えると慌てたり、自分の判断に迷いが生じたりすることもあります。それが家族にとっては後悔につながることもあります。当人や家族の想いを大切にしながら、正しい情報に基づいて多くの選択肢を提供していくことが私の使命だと考えています。

本来、これは施設の介護職などが行うのが理想なのでしょうが、多忙であることなどからなかなか難しいのが現実でしょう。医療職が適度な距離感で携わっていくことが大切と考えています。

この先もずっと在宅医療の現場に携わっていくのが夢

――あなたのこれからの夢を聞かせてください。

在宅医は私の天職と考えており、この先もずっと在宅医療の現場に携わっていくのが夢です。最近は点滴など高齢者施設の現場で行える医療行為も増えていますが、まだまだ施設だけで出来ることには限界があります。私たち医療職が適切に関わっていく必要があります。

また、今の日本人は死に対して鈍感であり、「死は自分に関係のないこと」と考えている傾向が強くなっています。例えば、自分の親が80代・90代にもなれば、そう遠くない将来に死を迎えることが予想されます。しかし、いざそれが間近に迫ると、全く想定しておらず慌てふためくケースが少なくありません。
死をタブー視せずに40代、50代などある程度の年齢になったら、気軽に話したり、考えたりできる社会づくりにも寄与していきたいと考えています。そのことが高齢者のQOLの向上にもつながるのではないでしょうか。

働き方になるべく多くの選択肢を

――最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。

どのような仕事にも「辛いこと」「嫌なこと」が必ずあります。そこにだけ目を向けてしまうと、全て嫌になってしまい、どんどんモチベーションが下がってしまいます。日々の仕事の中で「楽しい」「嬉しい」「幸せ」なことを一つでもいいので見つけるようにしましょう。「職場に好きな人がいる」「ランチで行く店がとても美味しい」など私的なことでも構いません。それがあるだけで、ずっと前向きに仕事に取り組めるようになります。

また、仕事中や、プライベートでも心の余裕がなくなったときなどに、10分、5分でもいいので気分転換ができるような趣味を持つことも大切です。私は、あるヘヴィメタルバンドのファンなのですが、そのバンドの曲を聴くことがリフレッシュになります。

そして、今の仕事・職場と離れることを決めた場合は、なるべく多くの選択肢を視野に入れるべきです。近年は起業、複業、時短勤務、フリーランス、派遣、テレワークなど多様な働き方が可能です。自分のライフスタイル、今後のライフプランに合わせて最も自分に合った働き方、職場を選択していきましょう。これまで「働く上でデメリットになる」と考えていたことが、全く何の障壁にもならないというケースもあります。

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