看護助手の仕事内容とは?1日の流れや向いている人の特徴も解説
2024/10/06
最終更新日:2024/10/06
「看護助手として働いてみたいけど、仕事内容が気になる」「資格や経験も無いから、自分にはついていけないかも」と、はじめの一歩が踏み出せず悩んでいませんか。
たしかに経験が無いと不安になりますが、多くの方が未経験から看護助手として働いています。
本記事では、看護助手の仕事内容について、一日の流れや向いている人の特徴、看護助手の魅力について解説します。
本記事で看護助手の仕事について理解し、あなたが看護助手で活躍できるかどうか見極めてください。
看護助手とは看護師のサポート役
看護助手は看護補助者やナースエイドとも呼ばれ、看護職員の下で食事や排泄、入浴の介助といった療養生活上の世話や診療の準備などを行う仕事です。
主に看護チームの一員として病院の病棟やクリニックで活躍し、在宅医療においても看護師に同行して患者さんのお宅を訪問するケースもあります。
ここでは、看護助手に関する以下の特徴ついて取り上げ、ひとつずつ詳しく紹介します。
- 看護助手に必要な資格について
- 看護助手の給与について
- 看護師との違いについて
- 介護職員との違いについて
出典:厚生労働省:「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(保医発0305第2号・令和2年3月5日)
看護助手に必要な資格について
看護助手として働くために、必要な資格はありません。
看護助手の仕事は医師や看護職のサポートであり、医療行為や診療の補助を行わないため、専門的な資格は不要です。
また、厚生労働省も看護助手の役割について規定していますが、特定の資格を要件としていません。
そのため、病院やクリニックなどの求人に採用されれば、誰でも看護助手として働けます。
看護助手の給与について
政府統計の総合窓口 e-Stat「賃金構造基本統計調査」によると、令和5年における看護助手の平均月給は222,500円で、賞与等は513,600円と報告されています。
以上の額から年収を算出すると、3,183,600円です。
以下に、看護助手と介護職員の平均年収を表で比較してみます。
職種 | 給与 | 賞与 | 年収 |
看護助手 | 222,500円 | 513,600円 | 3,183,600円 |
介護職員 | 263,600円 | 550,600円 | 3,713,800円 |
看護助手よりも介護職員の方が、平均年収は高い傾向です。
出典:政府統計の総合窓口 e-Stat「賃金構造基本統計調査」
看護師との違いについて
看護助手と看護師の大きな違いは、資格の有無でしょう。看護師は看護師国家資格に合格しなければなりませんが、看護助手に資格は不要です。
また、看護師は医師の指示の下で、患者さんの健康状態の観察や医療行為を行います。
対して、看護助手は看護師の指示の下で患者さんの世話や看護職員のサポートを行います。
介護職員との違いについて
看護助手と共通点の多い介護福祉士ですが、大きな違いは働く場所です。介護職員は介護施設で、高齢者や障害者の心身の状況に応じたケアを提供します。
一方で看護助手は病院やクリニックにおいて、看護職員のサポートや患者さんの身の回りの世話を行うのが主な仕事です。
また、介護施設では利用者支援のために介護福祉士が主体となって行動しますが、看護助手は看護師の指示の下で業務を行うのも大きな違いでしょう。
看護助手の仕事内容とは?
ここでは、看護助手の仕事について具体的に見ていきます。
看護助手は「看護」の名前が付いていますが、介護に近い仕事です。そのため、看護師のような働き方を想像していると、仕事内容の違いに戸惑ってしまうでしょう。
仕事のミスマッチを起こさないように、以下の記事を読んで看護助手の仕事内容を知っておいてください。
本章で解説する看護助手の仕事内容は、以下のとおりです。
- 看護師のサポート
- 患者さんのお世話
- 病院内の環境整備
看護師のサポート
看護助手は、看護師業務の補助的な仕事を行います。具体的な業務内容は以下の通りです。
- 医療器具の準備・片付け・洗浄・管理
- 患者さんの診察室や検査室などへの案内
- 問診表や検査結果など、必要書類の受け渡し
専門職である看護師は看護師にしかできない業務に専念した方が、効率よく業務をすすめられます。そのため、専門的な領域ではない補助的な業務を、看護助手が行います。
患者さんのお世話
患者さんの食事や入浴、排泄など、身の回りの世話も主に看護助手の仕事です。
また、自力では身動きできない患者さんに対しては、看護師と連携してベッドや車いすへの移乗や車いすでの移動介助を行います。
病院内の環境整備
院内の清掃や片付けなどの環境整備も、看護助手が担います。
主な環境整備には、以下の業務があります。
- ベッドメイキング
- 洗濯
- 病室・診療室の清掃
- 資料の整理・整頓
- コミの回収
看護助手は配属先で仕事内容が違う
看護助手といっても、働く場所が違えば求められる業務も違ってきます。
ここでは、看護助手が働く職場での仕事内容の違いについて解説します。本章で看護助手がどのような仕事をしているのか確認し、求人選びに役立ててください。
本章で取り上げる看護助手が働く配属先の仕事内容は、以下の3つです
- 病棟で働く看護助手の仕事内容
- 外来で働く看護助手の仕事内容
- 診療所・クリニックで働く看護助手の仕事内容
病棟で働く看護助手の仕事内容
病棟における看護助手は、入院患者さんの身体介助や身の回りのお世話が主な仕事です。
身の回りの世話では、食事の配膳や下膳、シーツ交換などを行います。また、入院患者が気持ちよく過ごせるように、病室の環境整備も重要な仕事です。
病棟における介護助手の働き方は、介護職員の仕事に近いといえるでしょう。
外来で働く看護助手の仕事内容
外来での看護助手の仕事は、主に通院や救急の患者さんを受け入れるための準備や環境整備が中心です。
車いすやストレッチャーを用いて患者さんを移送する場合もありますが、処置を行うための器具の準備や滅菌処置、診療室や処置室の環境整備などが大半です。
身体介助を行うケースもありますが、病棟に比べたら少なくなります。
診療所・クリニックで働く看護助手の仕事内容
診療所・クリニックでの仕事は外来と基本的には同じで、診療や検診の準備、環境整備です。また、受付や会計、書類の整理や電話対応などの事務作業を行う所もあります。
身体介助は病棟よりも少なくなるため、介護技術や医療知識を習得する機会が減ってしまいます。
それゆえ、介護技術を身に付けたい方には、物足りないかもしれません。
看護助手の1日の流れはどうなっている?
看護助手の仕事内容を理解したら、次にどのようなスケジュールで働くのかを見ていきましょう。
ここでは、日勤と夜勤に分けて、看護助手のスケジュールを確認します。看護助手の1日の流れを知り、自分が看護助手として働いている所をイメージしてみてください。
日勤のスケジュール例
病棟に勤務する看護助手の基本的なスケジュールは、以下の表の通りです。
時間 | 仕事内容 |
8:00 ~ 8:30 | 朝の申し送りで患者さんの情報を確認 |
8:30 ~ 9:00 | ベッドメイキング・環境整備 |
9:00 ~ 9:30 | 患者さんの洗面や着替えの介助、身だしなみの確認 |
9:30 ~ 11:00 |
入浴介助(体調不良の患者さんは、清拭を行う) 排泄介助 患者さんの誘導 医療器具の準備と消毒 病室の清掃 ナースコール対応 |
11:00 ~ 12:00 | 排泄介助 |
12:00 ~ 13:00 |
昼食の配膳 食事介助 食後の片付け |
13:00 ~ 14:00 | 口腔ケア 排泄介助 |
14:00 ~ 15:00 | 入浴 レクリエーション |
15:00 ~ 15:30 | おやつ |
16:00 ~ 16:30 | 記録業務 |
16:30 ~ 17:00 | 環境整備 |
17:00 | 退勤 |
夜勤のスケジュール例
時間 | 仕事内容 |
16:30~17:00 | 日勤者からの申し送りで患者さんの情報を確認 |
17:00 ~ 18:00 | 夕食の配膳食事介助食後の片付け |
18:00 ~ 19:00 | 口腔ケア患者さんの就寝準備着替え介助トイレ介助 |
19:00 ~ 5:00 | 見回りナースコール対応患者さんの状態観察排泄介助体位変換の介助バイタルサインの確認必要な記録作成休憩(交代制で仮眠を取る) |
5:00 ~ 6:00 | 早朝のトイレ介助オムツ交換患者さんの起床介助 |
6:00 ~ 7:00 | 朝食の配膳食事介助食後の片付け |
7:00 ~ 8:00 | 口腔ケア排泄介助 |
8:00 ~ 8:30 | 記録の整理日勤者への申し送り |
8:30 | 退勤 |
看護助手の仕事内容がきついと言われる理由
看護助手は無資格・未経験でも始められる仕事ですが、一方で仕事内容がきついと感じる方もいます。
ここでは、看護助手の仕事について、どのような理由できついと感じているのか明らかにします。
看護助手の仕事に興味がある方は、きついと言われる理由に目を通し、自分が仕事についていけるか見極めてください。
看護助手の仕事がきついと感じる理由は、主に以下の4つです。
- 体力が必要
- ある程度の医療知識を求められる
- 看護師との関係
- 体液や排泄物の処理がある
体力が必要
看護助手の仕事は、体力が必要となる場面が多々あります。
入浴介助やトイレ介助では、自分より体の大きな方を支えるケースもあります。
また、寝たきりの方のオムツ交換も、体力を使う重労働です。
さらに、病棟では早朝の出勤や夜勤もあるため、生活リズムに気を付けないと疲れが抜けなくなります。
そのため、体力に自信が無い方は病院の外来やクリニックなど、比較的体力を使わない職場が合っているでしょう。
ある程度の医療知識を求められる
看護助手は看護師からは専門用語で指示を受ける可能性があるため、ある程度の専門用語や医療知識を身に付けないといけません。
看護師も、わかりやすい言葉に言い換えていては業務効率が悪くなるため、看護助手にも最低限の知識を要求するでしょう。
それゆえ、医療知識が苦手な方に、看護助手は厳しいかもしれません。
看護師との関係
看護助手は看護師の指示の下で業務を行う性質上、看護師との間に上下関係が発生するケースがあります。上下関係があるような所では、看護師の顔色をうかがいながら業務を行わないといけないでしょう。
しかし、他人の目を気にしながら仕事を進めるのでは、大きなストレスがかかってしまいます。
看護師と看護助手の間に上下関係がある職場は、きついと言われても仕方がありません。
体液や排泄物の処理がある
看護助手の仕事では体液や排泄物への対応が求められるため、きついと感じる方もいます。
体液や排泄物の処理には手袋を着用し、感染症へのリスクがある場合は防護服も身に付けます。
そのため、気をつけていれば物理的に汚物が身体に触れることはありません。
しかし、見た目や匂いなど、生理的に受け付けない方もいます。生理的に汚物の処理が無理な方には、きつい仕事といえるでしょう。
看護助手の魅力
看護助手の仕事をきついと感じる方もいますが、魅力ややりがいを感じている方もいます。
ここでは、看護助手の仕事にある魅力を取り上げ、それぞれ詳しく解説します。
解説する看護助手の魅力は、以下の3つです。
- 無資格・未経験でも働ける
- 医療や介護に関する知識が身に付く
- 介護福祉士受験のための実務経験が積める
無資格・未経験でも働ける
看護助手の魅力は、資格や経験が無くても医療の現場で働ける点です。
現在は介護同様に医療の世界でも人手が足りないため、無資格・未経験の方でも、希望する求人を見つけやすい状況です。自宅から近い職場を選べば、ワークライフバランスを確保できるのも長所の一つでしょう。
それゆえ、医療に興味のある方や、医療・介護に関する資格取得を目指す方のスタートとして最適といえます。
看護助手として実務経験を積み上げ、看護師や介護福祉士へステップアップする選択肢も有効です。
医療や介護に関する知識が身に付く
看護助手は看護師や医師の間近で補助を行う仕事のため、専門的な知識や用語を用いて仕事をする機会が多く、自然と医療・介護の知識を習得できます。
たとえば、医療機材や薬剤の取り扱い、病気やケガに関する知識など、幅広い医療知識を得られるでしょう。
また、看護師の働き方を通して病気で悩んでいる方への理解が深まるため、患者さんに寄り添えるコミュニケーションも身に付きます。
病院で培った医療的知識は、そのまま介護の現場でも通用します。
そのため、医療の世界でステップアップするにしろ、介護の世界へキャリアアップするにしろ、看護助手で身に付けた医療知識はあなたの強みとなるでしょう。
介護福祉士受験のための実務経験が積める
看護助手として一定期間勤めれば、介護福祉士の受験要件を満たせるのも、おすすめできるポイントです。
介護福祉士を取得すれば介護に関する知識や技術を保持していると認められるため、給与アップが期待できます。
また、資格取得で介護職員やケアマネージャー、介護施設の管理者など、キャリアアップの道が開かれるでしょう。
さらに、介護関係への転職を考えた場合でも、介護福祉士の肩書があなたの強みになるのは間違いありません。
看護助手として働くなら、ぜひ介護福祉士の資格取得を目指してください。
ただし、介護福祉士資格の受験要件を満たすのは、主たる業務が介護等の業務の場合です。看護助手として働いていても、環境整備や器具の準備・片付けがメインで身体介護を行っていなければ、対象外ですので気を付けてください。
出典:公益社団法人 社会福祉進振興・試験センター「受験資格」
看護助手に向いている人の特徴
ここでは、どのような人が看護助手に向いているかについて解説します。
看護助手は看護師のサポートだけでなく、患者さんと接する機会も多い仕事です。そのため、看護助手として活躍するためには、いくつかの資質が必要です。
看護助手の仕事に就きたいと考えている方は、以下の記事を確認し、自分が看護助手に向いているかどうか判断してください。
看護助手に向いている方は、以下の3つの特徴に当てはまる人です。
- コミュニケーション能力が高い人
- チームワークを大切にする人
- 責任感のある人
コミュニケーション能力が高い人
病気を患っている患者さんの中には、辛い思いをしている方もいます。
そのため、看護助手は患者さんのお世話をするだけでなく、信頼関係を作り安心感を与えるのも重要な役割なのです。
病気を患って気が滅入っているときに、自分の辛さや苦しみに共感し寄り添ってくれたら、これ以上心強いものはありません。
ゆえに、患者さんと信頼関係を築けるコミュニケーション能力が高い人は、看護助手に向いている人材です。
チームワークを大切にする人
チームのために何ができるかを考える人は、看護助手が適任です。
看護助手は、看護師の指示の下で業務を行います。そのため、看護師が専門性を発揮できるように、何を必要としているか考えなくてはなりません。
業務の優先順位を考えず自分の仕事を優先させたり、情報共有を怠り必要な情報を伝えなかったりと、チームのことを考えない行動は病院だけでなく患者さんにも不利益をもたらしてしまいます。
それゆえ、看護助手にはチームワークを優先させる人が向いているのです。
責任感のある人
看護助手には自分の仕事に責任を持ち、最後まで全うする人が向いています。
看護助手は、看護師をサポートするのが主な仕事です。しかし、看護師がケアしているのは患者さんであるため、看護助手も患者さんを間接的にケアしているといえるでしょう。場合によっては、患者さんの健康を左右する可能性もあります。
そのため、看護師が患者さんのケアに集中できるよう、責任をもってサポート役ができる人は、どの病院でも看護助手として活躍できる人です。
看護助手になるためにはどうすればいい?
看護助手は資格や経験を必要としないため、病院やクリニックなどの求人に採用されれば、看護助手として働けます。しかし、無資格・未経験でも可能だからといって、いきなり医療現場に配置されたら戸惑うかもしれません。
そのため求人に応募する前に、介護職員初任者研修のような看護助手に関係する資格の取得をおすすめします。看護助手を対象とした資格はあるのですが、知名度も低く資格を取得しても評価されない可能性があります。
その点、介護職員初任者研修は医療・介護に携わる方によく知られている資格です。また、資格の取得で訪問介護員として働ける、介護職に必須の認知症介護基礎研修が免除になる、などのメリットもあります。
それゆえ、求人に応募する前に、介護職員初任者研修の習得を目指しましょう。
看護助手は医療と介護が学べる仕事
看護助手は看護師の指示の下、看護師のサポートをする仕事です。
働くために必要な資格はなく、未経験でも採用する病院やクリニックもあるため、誰でも医療機関で働ける仕事です。
きついと言われる面もありますが、魅力も多く働きながら医療に関する知識が身に付くため、医療や介護職を始めるにあたって丁度よい職種といえるでしょう。
さらに、看護助手に関わりのある資格を取ればキャリアアップの幅が広がるため、ぜひ資格取得も視野にいれてください。
どこで資格を取ればいいのかわからない方は、転職サイトに相談するのも一つの選択です。転職サイトは、資格取得の支援や面接対策などを提供しているため、転職活動をしながら資格取得を目指せるでしょう。
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