グループホームの仕事内容・一日の流れや必要資格・給料事情を一挙公開
2024/03/29
最終更新日:2024/03/29
「グループホームに興味があるけど、仕事内容がわからないので就職しようか迷っている」と、最初の一歩が踏み出せず迷っていませんか。
たしかに、仕事内容がわからないところには、なかなか応募できませんよね。誰でも就職した後で「想像していたのと違う。就職しなければよかった」と、後悔したくはないでしょう。
そこで本記事では、グループホームに興味がある方に向けて、グループホームの1日のスケジュールや気になる給料事情、グループホームのメリットやきついところなどを解説します。
最後まで記事を読めばグループホームの仕事内容を理解でき、自信をもって就職活動に専念できるでしょう。就職活動に自信が加われば、きっとあなたの理想とする職場が見つかりますよ。
グループホームの仕事内容
認知症共同生活介護(グループホーム)では、認知症のある方を対象に専門的なケアを提供します。
たとえば、地域との交流やレクリエーション・食事・入浴・日常生活上の支援・機能訓練などを提供し、認知症の方の心理面での安定や自立した日常生活を目指します。
特徴的なのは、食事や買い物、洗濯といった日常生活を、入居者さんの自力を活かしながら介護スタッフが共同で行う点でしょう。
また、認知症のある方の想いに寄り添い共感的な態度でコミュニケーションを取ることも、グループホーム職員の重要な仕事の一つです。
グループホームで何をする?日勤・夜勤の具体的な仕事内容
グループホームにおいて、スタッフはできるだけ入居者さんに時間をあわせます。大まかなスケジュールはありますが、分単位に刻まれている施設はまれでしょう。
グループホームの一般的なタイムテーブルは、以下の表で確認してください。
時間 | 業務 | 業務内容 |
---|---|---|
朝 | 朝食 | 朝食の介助とバイタルチェック |
申し送り | 夜勤職員から日勤職員へ申し送り | |
体操・洗濯 | 軽体操後に入居者さんと洗濯 | |
昼食準備 | 入居者さんと昼食の買い出し食事の準備 | |
昼食 | 昼食の介助 | |
昼 | 入浴 | バイタルチェック後に入浴 |
おやつ | 団らんしながらおやつを提供する | |
レクリエーション | 簡単なゲームや軽体操 | |
申し送り | 夜勤職員へ申し送り | |
夕~夜 | 夕食準備~夕食 | 入居者さんと食事の準備 |
就寝準備 | 必要な方に口腔ケアや排泄、更衣の介助 | |
消灯 | 消灯後は定期的な巡回・体位変換・排泄介助・コール対応を行う | |
早朝 | 朝食準備 | 朝食の準備 |
起床介助 | 必要な方に排泄、更衣などの介助を行う |
グループホームの勤務体制
本章では、グループホームの勤務体制を見ていきましょう。
グループホームの人員配置は、介護保険法で決められています。また、勤務については夜勤があるため、2交代制または3交代制のどちらかのシフトを採用しています。
とくに夜勤のシフトについてはライフスタイルにも関わるため、どの勤務体制が自分に合っているかはよく考えてください。
人員配置
日中の介護スタッフは入居者3人に対して1人(常勤換算)が配置され、夜間ではユニットごとに1人の配置が義務付けられています。
また、計画作成担当者はユニットごとに1人 (最低1人は介護支援専門員)の配置が義務付けられており、ユニット間の兼務はできません。
グループホームの管理者は3年以上認知症の介護従事経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了した者が常勤専従として配置されます。
勤務時間
グループホームでは夜勤があるため、2交代制または3交代制のシフト勤務が採用されています。
2交代制では、日勤と夜勤の2つの勤務帯を軸にシフトが組まれます。日勤の勤務時間は8時〜17時、夜勤は16時〜翌日9時までの勤務が一般的です。
夜勤明けの日は休日に該当しませんが、午前9時に仕事が終わるため休みに近い感覚でしょう。そのため、とくに体力のある若い方には2交代制が好まれています。
3交代制では、早番・遅番・夜勤を基本にシフトが作成されます。早番の勤務時間は7時〜16時、遅番は15時〜24時、夜勤は23時〜翌日8時としている施設が多いようです。
2交代制の夜勤業務は拘束時間が17時間にもなるため、体力に自信がない方は3交代がいいでしょう。
ただし、夜勤明けが休日となるため、休みが少なく感じるかもしれません。また、午前0時前後の出勤や退勤があるため、深夜に外へ出るのを不安に感じる方は2交代制をおすすめします。
グループホームで働く職種と仕事内容
グループホームで働いているのは、介護スタッフだけではありません。多種多様な職種が協働して、利用者さんのケアにあたっています。
次に解説する記事に目を通して職種ごとの仕事内容を理解すれば、グループホームでの仕事内容をイメージしやすくなるでしょう。
介護スタッフ
介護スタッフは、入居者さんの日常生活をサポートするのが主な仕事です。
日常生活上必要な買い物や料理などを、利用者さんと一緒に行います。サポートが必要な場面では入居者さんの自力を活かし、できない部分を支援します。
また、リハビリテーションやレクリエーションも、介護スタッフの担当です。入居者さんにあったアクティビティを提供し、楽しみをもっていきいきと暮らせるように支援します。
看護師
グループホームにおいて、看護師の配置は義務とされていません。それゆえ、看護師を配置している施設は多くありません。
しかし、グループホーム入所時には自立した生活をしている方でも、年月が経ち寝たきりになる方もいます。
そのため医療ニーズが高い施設など、看護師を配置する施設が増えてきているのです。
グループホームにおいて看護師は、入居者さんが日常生活を営む上で必要な胃ろうや経管栄養、痰の吸引などの医療処置を行います。
看護師がいる施設では、バイタルチェックや服薬などは看護師の担当です。
計画作成担当者
グループホームの計画制作担当者は、入居者さんの介護サービス計画書に基づき、一人ひとりにあわせた施設サービス計画書を作成します。
計画作成担当者も直接現場に入り、施設サービス計画が実行されているかを確認します。そして計画の修正が必要な場合は、そのつど計画の調整・修正を行うのです。
管理者
グループホーム管理者は、施設職員のマネジメントや施設の運営・管理を行います。
業務内容は幅広く多岐にわたるため、その一部を下記に掲載します。
- ⚫︎人材の採用・育成
- ⚫︎提供する介護サービスの質の管理
- ⚫︎経営・収支のマネジメント
- ⚫︎法令に基づいた運営の管理
グループホーム職員の給料事情
ここではグループホーム職員の、給料について解説します。
介護の仕事は専門性が求められるため、有資格者が優遇される傾向にあります。そのため、資格の保有が給料に結びつくのです。
グループホームも例外ではなく、厚生労働省の「令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果」によると、無資格者と介護福祉士では給料に5万円近くの差があります。
資格ごとの平均給与は、以下の表を参考にしてください。
保有資格なし | 25万5,980円 |
---|---|
介護職員初任者研修 | 28万1,200円 |
実務者研修 | 28万6,850円 |
介護福祉士 | 30万4,190円 |
次に、ほかの施設と比較した表を以下に掲載します。
グループホーム | 29万1,080円 |
---|---|
特別養護老人ホーム | 34万8,040円 |
介護老人保健施設 | 33万9,040円 |
通所介護事業所 | 27万5,620円 |
グループホームの給料は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった夜勤がある職場の中では低い方といえます。平均給与が一番高い特別養護老人ホームと比較すると、約4万円以上の差でした。
一方、夜勤のない通所系と比べると給料は高く、通所介護事業所よりも2万近い差があるようです。
出典:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 第102表 介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者)P157
グループホームで役に立つ資格とは
介護に関する資格取得は、提供する介護サービスの質を向上させてくれるため、ぜひ取得したいところです。
また、グループホームに限らず、介護業界では資格が給与に直結します。
介護の現場で働く場合、資格がなくても問題ありません。しかし、有資格者と無資格者では給与が大きく変わるのです。
以下ではグループホームで働く方におすすめの資格を取り上げ、それぞれ解説します。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修(初任者研修)は、介護についての基礎的な知識・技術を学ぶのにうってつけの資格です。
介護の仕事が初めての方は、初任者研修から始めましょう。
初任者研修を取得するためには、講義と演習あわせて130時間の研修受講が必要です。研修受講後は、筆記試験での修了評価をうけて研修修了となります。
詳しくは厚生労働省:「介護員養成研修の取扱細則について」を確認してください。
介護福祉士実務者研修
初任者研修を修了したら、次は介護福祉士実務者研修(実務者研修)を検討しましょう
実務者研修は、初任者研修よりも専門的で実践的な内容です。
また、介護福祉士取得の要件でもあるため、介護福祉士の資格取得を見据えている方は、ぜひ実務者研修を受講しましょう
実務者研修の学習時間は、すべてあわせて450時間です。かなり長い学習時間ですが、初任者研修を修了していれば特定の科目が免除されるため、320時間の学習時間で修了できます。
介護福祉士
介護福祉士は、介護の資格で唯一の国家資格です。そのため、ほかの資格よりも信頼性が断然高く、介護でキャリアアップを目指す方には必須の資格でしょう。
介護福祉士の資格取得のためには、介護福祉について多くの知識が必要です。
それゆえ介護福祉士を取得すれば介護の実践だけでなく、利用者さんやご家族の悩み相談、アドバイスの提示など、提供できる介護サービスの幅を広げてくれるでしょう。
給料も各段に高くなるため、介護の仕事にたずさわる方はぜひ介護福祉士を目指してください。
グループホームで働くメリット
グループホームは、入居者が共同生活を送る施設です。しかし、同じ施設で入所者が暮らす特別養護老人ホームや老人保健施設とは、違った特色をもっています。
それゆえ、グループホームで働いて得られるやりがいやメリットなども、大きく違ってきます。
本章では、グループホームで得られるメリットについて見ていきましょう。
一人ひとりに向き合った介護ができる
グループホームでは少人数の入居者さんをケアするため、それぞれの利用者さんに寄り添った介護が可能です。
特別養護老人ホームでは時間で業務が決められているケースも多く、ときとして業務中心になってしまいがちです。
一方グループホームでは、できるだけ入居者さんのペースにあわせてケアを進めます。
また、グループホームでは家庭的な雰囲気を大切にしているところが多く、入居者さんと馴染みの関係を構築しやすいのもメリットでしょう。
身体介護が少ない
グループホームの入居者さんは、少しの援助で日常生活を送れる方が多く、自立している方も珍しくありません。
日常生活すべてに介助が必要な「全介助」のケースもありますが、それほど多くはありません。
オムツ交換や全介助の方の入浴介助が少ないため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などと比べると、職員にかかる身体的な負担は少ないといえるでしょう。
認知症ケアが学べる
認知症ケアの知識が身に付き実践できるようになるのも、グループホームのメリットです。
グループホームに入居するためには、認知症の診断を必要とします。つまり、グループホームに入居されている方は、例外なく認知症を患っているのです。
認知症といっても多くの種類があり、同じ種類の認知症でも症状はさまざまです。そのため、認知症ケアではその方の症状に応じた対応が求められます。
グループホームでは認知症についての理解を深める機会や、実際に認知症ケアを実践する場面が多いため、認知症について相当な経験を積み上げられるのです。
グループホームはきつい?職員の悩みと辞めた理由
グループホームはほかの入所施設に比べて身体的な負担が少なく、認知症ケアも学べる利点があります。
しかし、グループホームでの仕事になやみ、辞めてしまう方もいます。それでは、グループホームで働く方の悩みには、どのようなものがあるのでしょうか。
以下では、グループホームの職員が抱える悩みについて、詳しく解説します。グループホームの仕事に興味がある方は最後まで本章を読み、就職するかどうかの参考にしてください。
夜勤は一人
グループホームの夜勤では、基本的に職員一人ですべての入居者さんを担当します。
少人数とはいえナースコールが重なることもあるため、夜勤を負担に感じる方もいます。
とくに、食事の準備と起床時間が重なる早朝の忙しさは、経験した方にしかわかりません。また職員一人で対応するため、事故リスクが高まるのも心理的な負担になるでしょう。
ゆえに、夜勤の負担に耐えられずグループホームを辞める方も多いのです。
認知症の方とのコミュニケーション
認知症への理解がない状態でグループホームに入職した場合、認知症の方に対してどのように対応していいのかわからず、きついと感じるかもしれません。
グループホームでは、認知症ケアについて多くを学べます。しかし認知症の知識を得たとしても、実践できるまでには多くの経験が必要です。
そのため、うまくいかないことに落ち込んでしまい、自信を無くしてしまう方も少なくないようです。
看護職が常駐していない
最近は医療ニーズの高まりで、看護職を配置しているグループホームも増えてきました。しかし、現状では、看護職を配置していない施設がほとんどです。
そのため、利用者さんの病気や怪我といった事態でも、現場にいる介護スタッフで対処する必要があります。とくに高齢者は急な体調変化や転倒しての骨折など、救急搬送されるケースは珍しくありません。
利用者さんの急変時に看護職を頼れないことに対して、グループホームでの仕事に不安を感じる方もいるようです。
料理が苦手な人はグループホームで働けない?
グループホームでは利用者さんと共同して料理を準備しますが、料理が苦手な方でもグループホームで十分働けます。
もし料理が苦手な場合は、入居者さんに料理を習えばいいのです。入居者さんは、きっと喜んであなたに料理を教えてくれますよ。
入居者さんが料理を教えるのも、入居者さんの役割を作り出す一つの認知症ケアといえるでしょう。
それでも不安な場合、調理スタッフを配置しているところや、食事の材料とレシピを用意しているグループホームをおすすめします。
グループホームに向いていない人
グループホームは、認知症の方を対象とした施設です。それゆえ、認知症の方を混乱させないように、さまざまな工夫をしています。
そのため、以下の例に当てはまる方は、グループホームに馴染めないかもしれません。
グループホームへの就職を考えている方は、以下の解説を読んで自分がグループホームに合うかどうか確認しましょう。
常に作業をしていないと落ち着かない人
「常に何か作業をしている方が、やりがいを感じる」と考える方には、グループホームは合いません。
グループホームでは家庭的な雰囲気を大切にしているところが多く、ゆっくりとしたペースを意識しています。
時には仕事の手を止めて、利用者さんの話に耳を傾ける時間も必要です。また、利用者さんが作業している姿を、側で見守るケースもあります。
利用者さんの「話を聞く」「行動を見守る」などのケアを時間の無駄と感じる方は、グループホームには向かないでしょう。
自分のペースで仕事を進めたい人
自分のペースで業務を進めてきた方も、グループホームにあわないかもしれません。
グループホームでは、入居者さんのペースで1日が進みます。業務はある程度の見通しをもって進めるものですが、自分の思い通りに進まないことの方が多いでしょう。
それゆえ、ある程度の見通しはたてますが、利用者さんのペースにあわせて臨機応変に予定を変えていく必要があるのです。
自分のスケジュールにこだわり段取り良く仕事を進めたい方に、グループホームはおすすめできません。
【まとめ】グループホームで認知症ケアのプロを目指そう
グループホームは介護スタッフにかかる身体的負担が少なく、認知症ケアについて学ぶ機会や実践する場が豊富といった利点があげられます。
しかし、夜勤は一人でユニットにいるすべての利用者さんに対応する必要があります。また、看護師が常駐している施設は少ないため、急な体調変化や事故による怪我などは介護スタッフが対応しないといけません。
たしかに、きついと感じるところもあるでしょう。しかし、グループホームには利用者さん一人ひとりと向き合ってケアを提供できる環境があります。
そのため、理想の介護を実現したい方は、ぜひグループホームへの就職を検討してください。まずは、お近くのグループホームに求人がないか確認してみましょう。