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派遣社員3年ルールとは?

2023/12/31

最終更新日:2023/12/31

派遣元会社が派遣先会社に派遣社員を就業させる際には「派遣3年ルール」が適用されます。

この記事では派遣3年ルールができた背景やその内容、3年を超えても同じ事業所で働く方法、違反した場合の罰則などについて解説します。

この記事で分かること

  • 有期雇用派遣で働けるのは3年間だけ
  • 正社員と無期雇用の違いは雇い主と出世
  • 3年ルールがあると雇用が安定しやすくなる

派遣3年ルールとは?

派遣法の3年ルール

労働者派遣法では、派遣社員は勤務先において、同一の事業所および部署で3年以上働くことを禁止しています。

派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。

労働者派遣法(第35条の3

これは通称「派遣3年ルール」と呼ばれています。

3年ルールが導入された時期・背景

派遣先企業が派遣社員を採用する理由は、従業員の退職・休暇制度の取得(育児休業など)による代替要員・一時的な業務量増加に対応するための即戦力などです。

基本的に長期的な雇用は想定されていません。

派遣社員は正社員と比べ、業務量による人員調整が容易、即戦力として期待できる、労務管理が簡単などのメリットがあります。そのため、企業によっては、積極的に派遣社員を採用する流れがありました。

2004年に労働者派遣法改正が発表され、派遣期限の上限が1年から3年に延長されたのです。また、ソフトウェア開発などの専門26業種のサービスは、例外として無期限に受け入れを可能としました。

しかし、現実は専門26業種が特別、専門性が高いとも言えず、また、派遣の常用は企業側のメリットばかり目立つようになりました。企業が正社員を雇用しなくなることで、全体の求人数が減り、雇用機会の損失につながったのです。

さらに、派遣社員はなかなか正社員になれないため、自身のキャリアやスキルを上げる機会が少ないのです。そこで、2015年に労働者派遣法が改正されました。

専門26業種の派遣期間特例をやめて、業種に関係なく「派遣3年ルール」採用を義務としたのです。

参照:厚生労働省 派遣先の皆さまへ

参照:厚生労働省 改正労働者派遣法の概要 

対象となる派遣社員

対象となる派遣社員は、派遣元と有期雇用契約を結んでいる人です。

派遣会社と、更新の必要がない無期雇用派遣契約を結んでいる場合は、そもそも3年ルール適用外のため、対象となりません。

また、派遣先への直接雇用を目指す「紹介予定派遣」という雇用形態も、最大6ヶ月の派遣可能期間であるため対象外です。

雇用契約について

雇用契約の種類について説明するので参考にしてください。

有期雇用契約とは?

有期雇用契約とは、期間の定めがある労働契約です。

期間の定めがあるため、雇用期間が満了すると、自動的に契約解除となります。

企業側からすると、雇い止めが簡単にできるのです。

そのため、雇用調整や人材の流動性を確保する目的で、有期雇用契約を積極的に活用している施設・事業所もあります。

無期雇用契約とは?

無期雇用契約とは、期間の定めがない労働契約です。期間の定めがないため、雇用期間という概念がありません。派遣会社と、雇用期間のない契約を行います。

また、労働者の権利が守られています。例えば、無期雇用契約の労働者は、急な解雇はされにくいです。定年前に退職させようとすると、労働契約法第 16 条の「解雇権濫用法理」が適用されます。当該解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、権利濫用に該当するとして無効となるのです。 

よって、雇用が安定し、正社員のように働けるのが「無期雇用契約」と言えます。

参照:無期転換ルールのよくある質問(Q&A)(p.5)

正社員と無期雇用契約の違いとは?

先ほど、無期雇用契約について解説しました。3年経過後も同じ職場内で働けますが、正社員とは違います。無期雇用契約と正社員の違いについて解説します。

雇用主の違い

正社員の雇用主は勤務先の企業ですが、無期雇用契約は派遣会社となります。もちろん、毎月の給与や福利厚生などは原則、派遣会社からです。

無期雇用契約の場合、正社員と同じように、期間の定めのない従業員として働くことはできますが、雇用主が違うことは頭に入れておきましょう。

出世の違い

正社員なら、順調にキャリアを重ねれば、出世して地位や給与が上がることが多いです。しかし、無期雇用契約だと出世することは難しいようです。

逆に考えると「出世しなくてよいから今の事業所で長く働きたい」人にとっては、メリットを感じるかもしれません。

3年ルールには事業所単位と個人単位の「期間制限」がある

人材派遣の3年ルールには「事業所単位による期間制限」と「個人単位による期間制限」の2つがあります。それぞれ分かりやすく解説します。

事業所単位の期間制限

事業所単位の期間制限とは、Aさんが3年間、ある事業所に派遣社員として勤めたのち、Bさんが同一事業所に勤めることはできないというルールです。

例えば、2023年4月1日から派遣社員Aさんが就業開始した場合、派遣契約期間の制限日は2026年3月31日であり、2026年4月1日が抵触日(派遣契約期間の制限が切れた翌日のこと)になります。

仮にAさんが2026年3月31日より早い時期に退職して、後任のBさんが派遣社員として引き継いでも、抵触日はそのまま2026年4月1日のままです。

ただし、派遣先企業の過半数労働組合などに意見聴取の手続きをすれば、事業所単位の期間制限は延長できます。

また、事業所単位の期間制限は個人単位よりも優先されるのが注意点です。

個人単位の期間制限

個人単位の期間制限とは「派遣社員は派遣先において、同一の事業所および部署で3年以上働くことを禁止」されているものです。同一の部署とは、同じ役職者が部署内の労務管理をしている組織のことをいいます。

細かな部分はそれぞれの会社で違うため、実態に即して判断されることが多いです。

派遣3年ルールによるメリット・デメリット

どちらも知ることで、リスクを承知の上で行動するようにしましょう。

派遣3年ルールのメリット

メリットを企業側・派遣社員側の立場からそれぞれ解説します。

企業側

派遣社員としての勤務態度やスキルに問題がない場合、派遣終了後に直接雇用できます。これまでと同様の仕事をしてもらえばよいため、いちから教育する必要がありません。採用後のミスマッチを防げます。

派遣社員側

3年がんばれば、直接雇用への道が開けるかもしれません。3年という期間設定がなければ、いつ直接雇用されるか分からないまま、何年も働き続けることになってしまいます。

ただし、派遣先の事業所が積極的に直接雇用しているか、確認しておくことは必要です。

そもそも、最初から直接雇用する気はなく、契約期間が終了したら終わりと思っている事業所もあるかもしれません。

また、直接雇用でも、正社員ではなく契約社員やアルバイトの場合は注意しましょう。ボーナスが支給されないことが多いため、派遣社員のときよりも収入が少なくなる可能性があります。

派遣3年ルールのデメリット

デメリットを企業側・派遣社員側からお伝えします。

企業側

当面のあいだ、派遣社員を採用したいと考えている企業である場合、3年に1度、新たな派遣社員に仕事を教育する必要があります。手間が増えるのはデメリットです。

派遣社員側

派遣として同じ事業所・部署で働きたいと感じている人にはデメリットと言えます。同じ事業所内で働くとしても、3年に1度は配置転換が必要となります。

3年を超えて働きたい場合にするべきこと3つ

派遣社員の中には「勤めている事業所が自分に合うから働き続けたい」と感じている人がいるかもしれません。同じ事業所で、3年以上働くための方法を紹介します。

直接雇用を検討してもらう

3年間の派遣期間終了後、事業所・施設に直接雇用してもらうことで、3年後以降も働くことができます。

ただし、派遣先が「継続して働いて欲しい」という気持ちになっていなければ成立しません。普段から戦力の提供を、いかにアピールできているかが大切です。

直接雇用となった場合、派遣先に待遇や勤務条件を一方的に決められないよう、派遣会社に交渉をお願いするのが重要です。

部署異動する

3年後も派遣として同じ事業所で働きたいなら、部署を変えれば可能です。

ただし、同じ施設内の違う介護現場(別フロアなど)になるだけでは、部署を変更したとはみなされないかもしれません。ケースバイケースのため、事前に確認しましょう。

また、直接雇用されたとしても、雇用先の都合で、派遣のときとは別の施設で働く可能性もあることは知っておきましょう。

派遣会社と無期雇用契約の締結について相談する

無期雇用に変更することで、3年経過後も、同じ事業所および部署で働くことができます。有期雇用とは違い、3年ルールが適用されないからです。

ただし、雇用元は派遣会社であり、派遣先に正社員登用されるわけではありません。あくまで「無期限の派遣社員」として働くことになります。また、給与や福利厚生も、派遣会社から支給されることは知っておきましょう。

派遣3年ルールの例外5つ

有期雇用契約を結んでいても、3年ルール措置が適用されない場合があります。具体的に解説します。

派遣社員の年齢が60歳以上の場合

就業開始日もしくは、就業開始から3年経過時点の年齢が、60歳以上の場合は、3年ルールは無効となります。

例えば、派遣就業開始時が58歳、3年経過後は61歳という場合です。

期限のあるプロジェクトに従事している場合

一定の期限のプロジェクト業務に派遣社員として従事している場合は、3年を超えてもプロジェクト終了日まで派遣を継続することができます。

例えば、2021年4月1日から始業、2026年3月31日が終業となっているとき、終業まで派遣として働くことができます。

しかし、どのようなプロジェクトでも認められるわけではなく、事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止を目的としていることが要件です。

日数限定業務を行っている場合

ひと月の勤務日数が月10日以下、かつ、労働時間が通常の労働者の半分以下の場合に該当します。例えば、お店の棚卸業務や、祝祭日イベントに関わる業務などが対象です。

従業員の代替要員として働く場合

産前産後休業・育児休業・介護休業などを取得中の、派遣先従業員の代替要員として採用されている場合です。

ただし、業務内容が変わったり、業務量が増減したりすると代替要員と認められません。

3年間の途中で部署を異動している場合

派遣先企業内で、3年以内に部署移動をしている場合は、異動前の部署の就業期間はリセットされます。

例えば、介護現場で2年働いたあとに、介護事務に異動したとします。すると、異動してからさらに3年間、勤務可能です。

まとめ

本記事では「派遣社員の3年ルール」について解説しました。

派遣社員は企業が人員調整しやすいため、積極的に採用されている時期がありました。

しかし、キャリアアップにつながらない、雇用が安定しないなどの問題点が浮きぼりになったのです。そこで、3年ルールが創設されました。3年間派遣として勤務したら、直接雇用・無期雇用・部署異動のいずれかの選択肢があります。派遣元、派遣先の担当者に相談・提案の上、決定してください。

ただし、3年後以降の人材を派遣先が求めていなければ、別の企業を探すしかありません。

これから、派遣社員で介護職を検討している方は、自身のキャリア・働き方を総合的に考えて利用することをおすすめします。

この記事の執筆者

あべ
介護福祉士・レクリエーション介護士2級・認知症ケア指導管理士

介護付き有料老人ホームにて介護歴10年以上。保有資格は介護福祉士・レクリエーション介護士2級・認知症ケア指導管理士。介護リーダー歴も5年以上あり。高齢者施設に勤務しながらWebライター・ブロガーとして活動中。