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介護の処遇改善手当はいくら?もらえない人もいる理由!

2023/12/25

最終更新日:2023/12/25

「介護処遇改善手当とは?」

「手当もらえているのかな……」

「手当の出る施設で働きたい!」

介護処遇改善手当が確実に欲しいとお考えではないですか?

実は、すべての介護職員がもらえると決まっているわけではありません。

この記事は、施設に勤める現役の介護福祉士が、介護処遇改善手当について解説しています。

記事の中では、介護処遇改善手当が創設された理由から、手当の詳細まで、分かりやすくお伝えします。

最後まで読めば、自身が勤める施設の手当の加算状況が分かるようになるでしょう。

また、就職・転職において、施設選びの基準にすることができます。

介護処遇改善手当を取得しているかどうかは、施設・事業所が介護職の給与を「どのように捉えているか」の指標になるため参考にしてください。

【この記事で分かること】

・処遇改善手当は介護職の収入アップが目的

・93.8%の事業所が取得しており浸透している

・加算(Ⅰ)を満たす施設がオススメ

介護職員の処遇改善手当とは?

介護処遇改善手当とは「キャリアアップや職場環境について高い意識を持ち、改善を図った施設や事業所に、給与にあてるお金を支給する」という制度です。

少子高齢化が深刻化しているため、これから益々、介護職の確保が課題となってきます。

しかし、介護職は体力の必要な仕事であるにも関わらず、給与が低い現実があるのです。

そのため、介護職員が定着しないという問題を抱えています。

深刻な人材不足を改善するために、介護職を増やすだけでなく、働いている人の定着率を上げる流れとなりました。

そこで政府は、介護職の賃金改善、働きがいのある職場作りを促す「介護処遇改善手当」というルールを作ったのです。

介護処遇改善手当で給料は上がるの?

介護処遇改善手当は、国からの介護給付と利用者のサービス利用料に上乗せされて、福祉施設に支払われる仕組みとなっています。

「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、介護職員処遇改善加算を取得している事業所は93.8%であり、介護業界全体が処遇改善に向けて動き出していることが分かります。

また、特定処遇改善加算75.9%・ベースアップ等支援加算85.4%と、介護職に関する加算を取得している事業所が増加しているのです。

以上の理由から、介護職員の給与は上がっていると言えます。

出典:介護職員の処遇改善に関する加算等の取得状況

介護処遇改善手当は基本給に含まれるのか?

介護処遇改善手当の支給方法は、事業所に任されています。

厚生労働省の調査では、支給方法は下記の画像のようになっていることが分かりました。

引用:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.72)

介護老人福祉施設・老健・訪問介護・通所介護など、サービス種類によって詳細は異なります。

ただ「新たに手当て項目を新設」して対応している事業所が、60〜80%であることが分かりました。

明確に「基本給に組み入れる」とは記載がないため、どういう形で支給されているのか明細書などを見てみましょう。

賞与として組み込まれていたり、計算方法も複雑だったりするため、上司や労務・人事などに確認・相談してみてください。

介護処遇改善手当をもらえる条件とは

介護職員が手当を受け取るためには、事業所が支給条件を満たすことが条件となります。

ここでは、具体的な支給条件について解説します。

キャリアパスへの取り組み

<キャリアパス要件>

①職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること

②資質向上のための計画を策定して研修の

実施又は研修の機会を確保すること

③経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期

に昇給を判定する仕組みを設けること

※就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む。

→引用でお願いします。

引用:介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要

①は、介護職が上位職に上がるための条件と給与を明確にすることです。

②は、介護職がスキルアップするための計画を作り、研修をしてくださいということです。

③は、経験豊富、資格取得、スキルアップした介護職を昇給する仕組みを作ってください。または、定期的に評価して昇給する仕組みを作ってくださいということです。

そして、上記を書面に残して、すべての介護職員が理解するところまでを、国は事業所に求めています。

職場環境への取り組み(いずれか一つ)

・入職促進に向けた取り組み

・資質の向上やキャリアアップに向けた支援

・両立支援・多様な働き方の推進

・腰痛を含む心身の健康管理

・生産性向上のための介護業務改善の取り組み

・やりがい・働きがいの醸成

上記の項目のうち、どれか1つ以上を満たしていることも条件です。

介護処遇改善手当の支給条件をまとめると下記のようになります。

加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ)加算(Ⅲ)
キャリアパス要件のうち、①+②+③を満たすかつ職場環境等要件を満たすキャリアパス要件のうち、①+②を満たすかつ職場環境等要件を満たすキャリアパス要件のうち、①or②を満たすかつ職場環境等要件を満たす

キャリアパス要件に多く該当するほど、加算をたくさん取ることができます。

また、職場環境要件は、どの加算においても必ず1つは取り組んでいることが条件です。

介護処遇改善手当をもらえない人

すべての職員が介護処遇改善手当をもらえるわけではないので注意してください。

・勤め先の事業所が介護職員処遇改善加算の条件を満たす気がない

・介護事業所に勤務しているが、介護職ではない

・事業所の判断で自分が勤める施設には配分されなかった

上記に当てはまる人は支給されません。

自分が手当をもらえるかどうかを確実に知りたいなら、個別に事業所に問い合わせてください。

ぜひ、介護処遇改善手当をもらえるようにしましょう。

介護職員等特定処遇改善加算って何?

介護職員等特定処遇改善加算

■対象:事業所が、①経験・技能のある介護職員、②その他の

介護職員、③その他の職種に配分

■算定要件:以下の要件をすべて満たすこと。

※介護福祉士の配置割合等に応じて、加算率を二段階に設定。

➢処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得していること

➢処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を

行っていること

➢処遇改善加算に基づく取組について、ホームページ掲載等を

通じた見える化を行っていること

→引用でお願いします。

引用:介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要

2019年度より実施された介護職員等特定処遇改善加算ですが、介護処遇改善手当とは違います。

手当を支給する対象が「介護職限定ではない」という点です。

前提条件として、介護職員処遇改善加算と職場環境要件に取り組んでいることが条件となっています。

「勤続年数10年以上の介護福祉士に月額平均8万円相当の処遇改善を行う」ことを目的としていますが、職員への配分バランスはある程度、事業所に任されています。

介護職以外の職種も含めて、全体の給与アップに使用されているのが、介護職員等特定処遇改善加算です。

介護職員等ベースアップ等支援加算って何?

介護職員等ベースアップ等支援加算とは、令和4年(2022年)10月の介護報酬改定(臨時改定)で導入された新たな加算制度です。

文字通り、介護職員の給与をベースアップすることを目的としており、3%(月額9,000円程度)を目標としています。

確実に加算が職員の手に行き渡るように、工夫されています。

現行の処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のいずれかを取得していることが条件です。

加えて、加算額の3分の2は必ず「基本給」か「決まって毎月支払われる手当」に使用することを条件としているのです。

また、介護職員等特定処遇改善加算と同じように、介護士以外の職員に支給できるよう、柔軟な運用が認められています。

自分の手当の額をまずは確認してみよう

ここまで説明した、介護の処遇改善手当を一覧にしたものが下記です。

引用: 介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要

介護の処遇改善加算は3階建てとなっています。

事業所が処遇改善加算をどれだけ取り入れるかによって、毎月支給される金額は大きく変わってくるのです。

これから介護職を始める人は、できれば処遇改善加算(Ⅰ)を取得している事業所をおすすめします。

また、現在介護職として勤務している方も、自身が勤める施設の手当を確認してみましょう。

手当の額によっては、給与が大きく変わる可能性もあります。

場合によっては、転職も選択肢に入れることをオススメします。

介護処遇改善手当の今後は?

これまで紹介したように介護職の給与アップの施策は定期的に行われてきました。

・介護職員処遇改善加算

・介護職員等特定処遇改善加算

・介護職員等ベースアップ等支援加算

などです。

しかし、介護職という責任ある仕事をするにあたって、まだ十分な給与とはいえません。

そこで2023年の5月「介護サービスの事業者や専門職らで組織する11の団体」が岸田首相に賃上げの要望書を提出しました。

岸田首相からは「生産年齢人口が減少する中でも介護サービスは維持しないといけない。重要な課題であり引き続き問題意識を持って取り組みを進めていく」という返答があったようです。

今後に期待しましょう。

出典:介護ニュースJoint

まとめ

本記事では「介護処遇改善手当」について解説しました。

処遇改善手当は「介護職の待遇が悪い」という声を受けて、政府が条件を満たす事業所に加算としてお金を支給する制度です。

93.8%の事業所が取得しているため、制度は浸透していると言えるでしょう。

ただし、すべての介護職が同じ額を支給されるわけではありません。

加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のどれを取得しているかにより、支給額が変わってくるからです。

また、支給されても、配分はある程度、事業所の判断に任されています。

これから介護職を始める人は、処遇改善手当を積極的に取得している事業所をオススメします。

介護職として勤めている人は、処遇改善取得状況を確認し、転職を含め確実に手当をもらえる行動をとりましょう。