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ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割と仕事内容は?求められるケアマネになるための方法も解説

2023/05/12

最終更新日:2023/05/12

介護の仕事に興味がある方、または現在携わっている方の中には「ケアマネジャーの資格を取って、キャリアアップしたい!」と考えている方もいるでしょう。

しかし実際のケアマネジャーの役割や仕事内容がわからず挑戦するべきか、自分に向いているのかわからないという声をよく聞きます。

そこで、本記事ではケアマネジャーの役割や仕事内容、資格取得方法、必要なスキルについて現役のケアマネジャーが解説します。

ケアマネジャーを目指している方、ケアマネジャーについて知りたい方はぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • ケアマネジャーの役割、仕事内容
  • ケアマネジャーの種類、職場
  • ケアマネジャーの資格取得方法
  • ケアマネジャーに求められるスキル、姿勢

介護支援専門員(ケアマネジャー)とは

ケアマネジャーとは

ケアマネジャーは、正式名称を「介護支援専門員」といいます。

しかし「ケアマネージャー」や「ケアマネ」といわれることがほとんどです。

介護支援専門員は介護保険法に位置づけられた職種で、ケアマネジメントを担う専門職です。

ケアマネジメントとは、要介護者やご家族から相談を受け、課題を分析し、必要な支援を受けられるようにする一連のサポートをいいます。

ケアマネジャーの役割

ケアマネジャーは、要介護(要支援)認定を受けた方やそのご家族の相談にのり、在宅や施設で必要なサービスが受けられ、自立した生活を送るための支援を行います。また利用者様の希望やニーズを満たすサービス事業所を紹介し、連絡調整を行います。

ほかにも、要介護認定の申請や更新の手続きを代行したり、介護保険の給付に関わる業務を担当したり、多岐にわたる業務があります。

ケアマネジャーの資格取得方法

ケアマネジャーの資格は年に1回行われる「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)」に合格し、実務研修を修了して、介護支援専門員証の交付を受けることで取得できます。

また試験を受けるには、保健医療福祉分野での国家資格(医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士など)を持ち、実務経験5年以上(従事日数900日以上)が必要です。受験資格に加え、合格率も10%から20%前後と低く、難関資格といえます。

なお介護支援専門員証は有効期間があります。試験に合格して実務研修を修了するだけではなく、5年ごとに所定の研修を修了して更新しなくてはなりません。

ケアマネジャーと生活相談員の違い

ケアマネジャーと生活相談員の違いは、保有資格と仕事内容、勤務先などです。

生活相談員になるためには、社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事のいずれかの資格を取得しているか、各自治体ごとの資格要件を満たす必要があります。各自治体ごとの資格要件は「介護福祉士の資格を取得し、1年以上の実務経験がある」「介護支援専門員の資格を取得している」などです。

生活相談員の勤務先は介護施設で、相談援助業務を担います。

ケアマネジャーは担当している利用者様のサービス全体をマネジメントしますが、生活相談員は勤務している施設(デイサービスやショートステイなど)を利用する利用者様とケアマネジャーの間に入ってマネジメントをします。

ケアマネジャーと生活相談員は同じ相談援助職であり、コミュニケーション能力やマネジメント力が必要な点では似ているといえます。

ケアマネジャーの主な業務内容

ケアマネジャーの仕事といえばケアプランを作成することですが、ほかにもさまざまな業務があります。

ケアプランの作成と管理

ケアマネジャーの重要な仕事のひとつが、ケアプラン(サービス計画書)を作成することです。要介護(要支援)認定を受けた方が介護保険サービスを利用するためには、ケアプランが必要です。

ケアプランを作成するためには、まず利用者様本人の心身の状態やご家族の状況、生活環境などを広く知る必要があります。そのため自宅を訪問し、アセスメント(課題分析・事前評価)を行います。

事前評価や課題分析と、本人や家族の希望を聞き取った内容を総合的に判断し、目標や総合的な方針をご本人やご家族と一緒に考え決定します。

サービス開始後も定期的に面談、モニタリングを行い、サービスが適正か、日常生活に困りごとはないかヒアリングを行います。サービス事業所側にも定期的にサービス内容や実施状況、利用者さんの様子などを確認します。

ケアプランは定期的に3か月から6か月に一度見直しを行いますが、必要であればその都度見直しし、サービスの追加や変更、中止などの調整を行います。

介護サービスの提案・紹介

目標や総合的な方針にそって、望む生活を送るために必要な介護保険のサービスを説明、提案します。

たとえば訪問介護で提供できるサービスやデイサービスではどのように過ごすのかなど具体的に、またそのサービスを行っている事業所もいくつか紹介します。

ケアマネジャーは公正中立の立場で、特定のサービスや事業所をおすすめしたり一方的にサービスを決定したりすることはなく、ご本人・ご家族の要望にそってサービスを決定します。

しかし必要なサービスであるのに拒否されたり、偏ったサービスの希望を主張されることもあります。その場合はまずは信頼関係を築き、丁寧に説明して、理解を得られるように努力が必要です。

退院支援

入院によって心身の状態が悪化した場合、退院後の生活が困らないように、またできる限り入院前の生活に戻れるように必要なサービスの調整を行います。

担当している利用者様の退院時の支援を行うケース、または入院中に要介護認定を受けて退院支援から関わるケースも多くあります。

退院支援は、入院している病院の医療相談員と連携して行います。入院中に関わっている看護師やリハビリ職とも情報共有に努めます。

退院前カンファレンスや、病院担当者とともに一時帰宅し自宅環境の確認やサービスについて話し合う場が設けられる場合は参加し、退院までに必要なサービスや環境を整えます。

自治体やサービス事業者などとの連絡調整

必要な介護保険のサービスをご本人・ご家族とともに決めたら、サービスを提供している事業所との橋渡し役を担います。また介護保険のサービスだけではなく、必要に応じて地域のボランティアや町内会で行っている体操教室などの情報提供も行います。

各サービス事業所の特徴を説明し、見学可能なデイサービスは見学して雰囲気を確かめてもらったり、パンフレットやホームページを見てもらったりして、ご本人・ご家族の意向でサービス事業所を決定します。

サービスの利用開始後も、ご本人とサービス事業所との間に入り連絡・相談・情報共有を行い、問題が発生した場合にも対応します。

給付管理業務

給付管理とは、介護サービスを提供した事業者に適切に介護報酬が給付されるために必要な業務です。ケアマネジャーは給付管理票を作成します。

利用者は利用料金のうち決められた負担割合(1~3割、所得により決められる)に応じた料金を支払います。介護サービス事業者は利用者負担の残りの金額(7~9割)の介護給付費を国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求します。

国保連は、ケアマネジャーが作成した給付管理票と介護サービス事業者の請求内容が正しいかチェックを行います。給付管理票に誤りがあると、介護サービス事業者への介護給付が遅れてしまうため、不備がないよう注意しなければなりません。

なおケアマネジャーへの相談、ケアプラン作成などにかかる費用は全額介護保険から給付されるため、利用者負担はありません。

要介護認定に関する業務

ケアマネジャーは介護保険の申請の手続きを代行で行うことができます。

介護保険サービスを利用するには、市区町村に申請を行い要介護(要支援)認定を受け、介護保険証の交付を受ける必要があります。

また介護保険証は有効期間があり、有効期間満了前に更新手続きが必要です。ケアマネジャーは更新手続きも代行できるため、担当している利用者様の更新手続きを代行することがほとんどです。

ケアマネジャーの種類

ケアマネジャーは居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーに分かれます。

ケアマネジメントを担うのは同じですが、勤務先により業務内容には違いがあります。

居宅ケアマネジャー

居宅ケアマネジャーは居宅介護支援事業所に勤務し、在宅介護が必要な方が適切なサービスを受けられるようにサポートを行います。

居宅ケアマネジャーは担当できる人数に上限があり、40件未満とされています。

施設ケアマネジャー

施設ケアマネジャーは特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどに勤務し、その施設の入居者のケアプランを作成します。

施設ケアマネジャーの担当人数は、利用者様100人に対し最低1人と決められているため、100床の施設に1~2名の施設ケアマネジャーが配置されていることが多いです。

施設ケアマネジャーは介護業務や生活相談員と兼務のことも多く、職場により求められる業務内容に幅があります。

主任介護支援専門員(主任ケアマネ)

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)はケアマネジャーの上位資格で、介護のプロフェッショナルとしての活躍が期待されています。

主任ケアマネジャーになるには試験はなく、主任介護支援専門員研修を修了することで資格を取得できます。受講要件は都道府県ごとに異なりますが、ケアマネジャーとして5年(60か月以上)の実務経験が必要です。

ケアマネジャーになるためのスキルと向いている人

ケアマネジャーの業務は多岐にわたり、介護職員とはまた違った苦労や悩みが多いです。

しかし介護保険制度の要としての役割は重要で、やりがいもあり、成長できる職種であるといえます。

コミュニケーション能力

ケアマネジャーは利用者様やそのご家族と信頼関係を築き、円滑に生活をサポートしていくためにはコミュニケーション能力は必須です。

利用者様やご家族、サービス事業所の担当者、看護師や理学療法士など幅広い年代やさまざまな立場・職種の人と関わります。その中で異なる意見や考えをまとめていく力が必要です。

また利用者様ご本人とご家族、ご家族とサービス事業所などの間に入って調整を行うため、相手やその場に合わせたコミュニケーションを取る必要があります。板挟みになるケースも多々あり、適切な対応が求められます。

正しい敬語が使えるのは前提条件として、相手に合わせた話し方、言葉選び、声のトーンなどを使い分けなくてはなりません。たった一言で信頼関係が崩れてしまうこともあるので、自分の発言には常に注意が必要です。

問題解決能力

ケアマネジャーが担当するケースの数だけ解決するべき課題や問題点があり、常に問題解決能力が求められます。似たようなケースもありますが、利用者様、そのご家族の分だけ価値観や考え方があり、それを理解した上でサポートすることが必要です。

どれほど自分の考えや意見とかけ離れていたとしても、その背景にあるその人の思いや状況を理解し、問題を解決しなくてはなりません。時には無理難題を言われたり、横暴な言動に対応に困ることもありますが、それも含めてケアマネジャーは問題解決能力が必要です。

組織力・協調性

ケアマネジャーは単独での仕事が多いと思われがちですが、常に調整役として組織の中で動き、協調性をもって対応することが求められます。

適切なケアマネジメントを行うには、チームで一丸となってサポートすることが必要です。ケアマネジャーは利用者様やご家族のことを考えるとともに、サービスを提供している事業所も仕事がしやすいよう配慮する必要があります。

専門知識・継続的な学び

ケアマネジャーは資格取得のために膨大な勉強時間を費やし、実務研修も受講しますが、実際の業務に就いてみるとわからないことばかりで、自分の無知や無力さに自信を喪失する場面が多くあります。

介護保険の改正などの専門知識だけではなく、コミュニケーション能力や対人援助技術など、研修や勉強会に参加したり本を読んだり、自ら学び続ける姿勢が大切です。

勤務先と給与

ケアマネジャーとして仕事を続けていくためには、自分に合った職場で働くこと、キャリアアップできることも重要なポイントです。

ケアマネジャーが活躍できる場所

居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホームなど活躍の場は多々あります。

介護業界全体にいえることですが常に人材不足であり、ケアマネジャーの求人は多くあります。

また主任ケアマネジャーの資格があれば、主任ケアマネジャーの配置が義務づけられている地域包括支援センターや居宅介護支援事業所など、活躍の場は広がります。主任ケアマネジャーの人材不足も深刻であり、給料アップやよりよい待遇を求めて転職を考えた場合も有利に進められるでしょう。

ケアマネジャーの給与

厚生労働省の令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、常勤のケアマネジャーの平均給与は353,560円、常勤の介護職員の平均給与は316,610円です。

以前はケアマネジャーの給与は介護職員との差が大きく、待遇アップのためにケアマネジャーの資格取得を目指す方が多かったのですが、介護職員の処遇改善により現状はあまり差がなくなりました。

しかし、ケアマネジャーは基本的には日勤帯の勤務が多く、夜勤がない働き方ができるなど、働きやすさからケアマネジャーの職を選ぶ方も多いようです。

ケアマネジャーとして成長するためには?

ケアマネジャーは学び続けて、柔軟に吸収する姿勢が重要です。

経験を積むことが重要

ケアマネジャーの仕事は、経験を積めば積むほど対応できる幅も広がりますが、困難や悩みがなくなることはありません。

さまざまな利用者様、ご家族、社会情勢などから常に問題を抱えた方のサポートが必要です。

悩みは尽きませんが、経験から学んだことはその後のケアマネジメントに必ず活きてきます。自信にもつながりますし、同僚や後輩のサポートにも役に立ちます。

メンターを見つける

ケアマネジャーの仕事をしていく上で、困ったときに相談できる相手がいないと、精神的負担が大きくなります。

身近な上司や同僚に気軽に相談できる環境があるのが理想ですが、それが望めない場合は、他職種の先輩や研修で出会った他の事業所のケアマネとのつながりを大切にしていくのもひとつの方法です。

ネットワークを広げる

ケアマネジャーは介護保険やサービス事業所の情報だけではなく、利用者様やご家族を取り巻く地域の情報を把握することが大切です。利用者様の生活を支えるには民生委員の方やボランティア団体、地域のサークル活動なども含めて総合的な情報を知っておく必要があります。

また、同じ職場の他職種の方との情報交換や勉強会、他事業所のケアマネジャーやサービス提供事業所とのつながりも重要です。困りごとのサポートを受けられたり、反対に力になれることもあるでしょう。

ネットワークが広がれば、自分自身がケアマネジャーとして仕事がやりやすいだけではなく、地域の一員として社会貢献できている実感が得られ、ますますやりがいにつながります。

最新情報・知識をアップデートし続ける

ケアマネジャーは介護保険や福祉業界の最新情報を常にアップデートしていかなくてはなりません。

介護保険法は改正があり、ケアマネジャーとしては改正内容を把握しておくことは必須です。

またケアマネジャーは介護保険だけではなく、医療や障害福祉、生活保護に関する知識も必要です。

利用者様に尋ねられても知識がないためにうまく答えられないこともありますが、曖昧な返答や適当に説明するのは論外です。わからないことは正直に「わからないので○○(日時)までに調べてご説明します」と伝え、後から正しい説明を行います。

介護支援専門員(ケアマネ)の良くある質問

ケアマネについて、よくある質問についてまとめました。

ケアマネジャーの仕事内容は?

ケアマネジャーの仕事内容は、要介護(要支援)認定を受けた方やその家族の相談にのること、心身の状態や状況に応じた適切な介護保険サービスが受けられるようにケアプランを作成すること、また利用者様と介護サービス事業所との橋渡し役、連絡や調整を行うことです。

ケアマネの仕事は他にもさまざまありますが、利用者様の生活全体をサポートすることがおもな仕事です。

介護支援専門員の責務は?

要介護者(要支援者)やそのご家族の困りごとを解決すること、生活全般をより良くすることです。

介護保険サービスだけでは解決できないことが多々ありますが、ケアマネジャーとしての知識や地域とのつながりを活かしてできる限りのサポートを行います。

地域介護支援専門員の役割は?

地域包括支援センターで主任ケアマネジャーとして勤務することは、その地域の高齢者の暮らしを支える重要な役割です。

高齢者が要介護状態になったとしても、できるだけ住み慣れた地域でその人らしい生活を続けられるように、地域で連携してサポートしていく役割を地域包括支援センターは担っています。

地域包括支援センターには、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員が配置されていて、高齢者の困りごとに対応します。要介護(要支援)認定を受けていなくても相談が可能であり、チームでその地域に暮らす高齢者の生活をサポートしています。

介護支援専門員に求められるものは何ですか?

専門知識がもちろん求められますが、それ以上にコミュニケーション能力や臨機応変に対応できる力、行動力が求められます。

介護支援専門員の力が発揮されるときは、入院や退院、状態が悪化した場合や家族の介護力が変化したときなど、課題が増えたときです。

課題に対し冷静に判断し対応することで、利用者様やご家族の不安を払拭し、安心して在宅生活を続けられるようにサポート体制を整えます。

まとめ

本記事ではケアマネジャーの役割や仕事内容、必要なスキルを解説しました。

ケアマネジャーは利用者様やご家族から相談を受け、課題を分析し、必要な支援を受けられるようにサポートを行い、生活全体を支えていく仕事です。

ケアマネジャーの仕事は悩みや苦労が尽きません。さまざまな課題や困りごとを抱えた利用者様やご家族のサポートを、担当している利用者様の人数だけ同時進行で進めなければならず、大変な仕事です。

しかし、それ以上にやりがいや楽しさもあり、また成長もできる魅力のある仕事です。

介護の仕事をしている方、これから介護の仕事に挑戦する方も、日本の高齢社会を支える一員として、ぜひケアマネジャーを目指してもらえればと思います。

ミカ

ミカ
介護福祉士、介護支援専門員

大学卒業後はサービス業に従事し、31歳のときに介護業界へ転職。特別養護老人ホームで約10年介護士として経験を積み、現在は居宅ケアマネジャー4年目。