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COLUMN

お悩み解決コラム

介護士に必要とされている、現場での指導(OJT)について

2021/12/06

最終更新日:2021/12/10

こんにちは!介護福祉士の波多野充です。いつも記事をお読みいただき、本当にありがとうございます。今回は私が常日頃から感じている、疑問、不思議だなぁと思うことについて、話させて頂こうと思います。

OJTが疎かになっている

OJT

その一つが、介護現場でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が疎かにされている事です。他の介護士さんからも、同様の意見内容が多く聞かれる現状があります!入職したての介護士さんに、ほぼ、仕事内容の説明・指導教育がなく、彼ら彼女らを現場に出して行くということ。これはとても怖いことです。

例えば、食事介助の場面ではどのようなことが考えられるでしょうか。若い指導者と、入職したての新人介護福祉士とのやりとりを想像してみましょう。

介護士と利用者

若い指導者:Bさんを見ないといけないから、Aさんの食事介助やっておいて!(介護専門学校で学んだ知識があるから、大丈夫だろう。一人で食事介助をやってもらおう!)

新人介護福祉士:わ、わかりました!(初めての実践で不安。でも指導者も忙しそうだし、一人でやるしかないか・・・)

食事介助の基本は同じでも、各ご利用者の状態により、コツや方法は変わってきます。この場合、ご利用者を誤嚥させてしまったり、最悪の場合命を落とさせてしまう可能性があります。初めての食事介助だったとはいえ、新人介護士さんへの心理的ダメージは大きくなります。

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介護士

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机上の学びと、現場での介護実践は全く違う

介護士と利用者

学校で学んでいたとはいえ、現場で対応するご利用者の背景はさまざまです。OJTで既往歴やADL(日常生活動作)等の説明、食事介助のコツを伝えた上で、現場に出ていただく必要があります。先ほどの誤嚥したご利用者様の件は、介護にあたった新人介護福祉士だけの責任でしょうか?実習指導者がしっかりした説明・指導・手本を見せる事等を、怠った責任でもあるのではないでしょうか。

今必要とされている現場での指導(OJT)

介護士と利用者

昔から叫ばれている事ですが、令和の今も介護人財不足は更に加速しています。資格も知識も技術もない、しかし、真心のある、そんな人財に支えられ、今の介護業界は成り立っています。先の例を踏まえ、皆さんが介護指導者や、仕事を新人に教える側だとしたなら、どのように指導されますか?やはり、食事介助の基本、コツ等をしっかりと指導し、お手本を見せ、それから介護実践に入ってもらいませんか?

 食事介助のコツ

食事介助をするときのポイントをいくつかご説明します。

point

・ご利用者の既往歴やADL等は、事前に情報収集し、気をつけることは把握しておく。

・食事の際、体がずっていたり(後屈)、極度の前かがみにはなっていないか確認する。

・正しい姿勢の保持をする。

 →テーブルは高すぎないか?(腕も動かしにくい)

 →へその高さにテーブルが設定されているか?

・なるべくなら、車イスからイスに移乗し、お食事を召し上がっていただく。

・イスに移乗できない場合は、車イスのフットサポート(フットレスト)を上げ両足の裏を床にしっかりとつけ、テーブルを充分に引き寄せる。

・身体が左右に傾いていないか確認する。

 →クッション等を使用し、正しい姿勢を保持する。

・足底接地しているか確認する。

 →足底接地が不充分だと、首周りの嚥下筋に無駄な力が入り、効率的な嚥下ができていない可能性があります。食事中の疲労や、誤嚥、咽頭残留(嚥下したものが飲み込めずに、咽頭に残ってしまうこと)などの原因にもなります。

・イスの高さが合っているか確認する。

 →高さの変更をする。もし、それも難しい場合、足置き台を接地し、しっかりと足底がつくようにすると良いです。

※昔、良く見られたのが介護士が立ったまま、食事介助をしている姿です。これは高い位置から、食事をご利用者の口に運ぶため、ご利用者の顔も体も後屈してしまいます。後屈した姿勢のままで、食事介助をすると、大変危険です。ご利用者も辛い姿勢のままですし、誤嚥するリスクが非常に高まるのです。介護士もご利用者と同じ目線となるように、イスに座り介助することが重要となってきます。そして斜め45度の位置から介助し、今から何を食べるのか、説明するのも良いでしょう。

・目を開けていただく。

 →目が開く方なら、しっかりと食事を見てもらい、視覚から『今、この食べ物を食べる』と、認識していただくそれにより、本人が食べる一連の動作を意識し、誤嚥のリスクを低下させるのです。

・食事の一番最初は水分から。

 →口腔内が潤い、咀嚼、飲み込みがしやすい口腔内環境をつくります。そして、食事と水分、交互に差し上げます。

・片麻痺の方の場合には、介護士は健側に座り、食事介助をする。

 →その際、ご利用者の顎は引けているか要チェック!口の中央から食べにくい場合は、口の健側に食べ物を運ぶと、ご利用者が咀嚼、嚥下しやすくなるでしょう。

・口腔内に食べ物が残っていないか良く観察してから、次の食事を運ぶ。

 →ご利用者が口腔内の食事を飲み込めたか、確認しやすいのが、のど仏が上下に動いたか?で飲み込みの確認ができます。目視の確認で分からない場合、ご利用者の喉に、人差し指と中指を当てて、様子を見ます。飲み込めた時は、喉の上下の動き(嚥下)が指に伝わり確認できます!

まとめ

介護士

食事介助一つとっても、介助の基本、コツがあります。これらを知って介助するのと、知らずに介助するのでは、大きな内容の違いが生じてきます!人の命を護る私達(介護士、介護福祉士)は、これらを良く理解し、介助に当たる必要性、義務があります!それにより、人の命を左右することだって起こり得るのですから…

私達、介護福祉士・介護士は、ご利用者の生活を支えると共に、命を護るとってもやり甲斐のある仕事なんです!施設のご利用者が一番楽しみにしているものが、毎日の食事と言われています。その貴重な食事タイムを、楽しいものと感じて貰えるか否かは、現場の介護士、そして新人指導をする、介護指導者の手腕にかかっていることは、言うまでもないでしょう。ご利用者に必要とされ、今、時代に必要とされているのは、介護士と言っても過言ではありません。

この記事を書いた人

波多野 充

介護福祉士/ 認知症介護実践リーダー/ 介護教員/身延山大学非常勤講師

介護福祉士として介護現場に従事する事、21年目。 ユニットリーダーやサービス提供責任者、教育担当リーダー、介護福祉士実習指導者を歴任。 かながわサービス福祉振興会・かなふくセミナー登壇歴有り。介護福祉士会研修講師登壇。 認知症サポーター養成講座の講師としても、地域にて 登壇歴12年。 専門学校専任教員、非常勤講師も経験し介護現場に、 教育のあり方・重要性を介護現場実践教員として伝えて行っている。

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