――あなたのお仕事について具体的に教えてください。
「車椅子トラベラー」の肩書で活動しています。交通事故により現在は車椅子生活なのですが旅が好きで、時間があれば世界各地を旅しています。2017年には23ヶ国を巡る世界一周旅行をしていますし、2026年2月23日から4月4日まで2度目の世界一周旅行に出かけます。
旅のリアルな様子や旅先で体験したことをSNSや書籍、講演活動などを通じて広く発信することで、障がいや病気、要介護などのハンディキャップを持った人たちが、旅をはじめとするさまざまなチャレンジをするきっかけを作っています。現在、Instagramのフォロワーは1万6000人、YouTubeチャンネルの登録者は2万1000人います。
また、各地の自治体や観光協会などが取り組んでいるユニバーサルツーリズムの普及拡大に協力するなど、ハンディキャップを持つ人が気軽に旅ができる社会・環境づくりも目指しています。
世界一周をするために仕事を辞め車椅子トラベラーに
――この仕事を始めたきっかけを教えてください。
18歳のときにバイクの事故で車椅子生活になりました。その後は会社員として就職をしますが、自分が障がい者になったことで何か新しいチャレンジをするのが怖くなり、人生の目標や意欲を全く無くしてしまっていました。その様子を見ていた友人が「海外旅行に行ってみたらどうか」と勧めてくれました。
それまで海外旅行は全くの未経験だったのですが、1人でハワイに行ってみたところ、現地の人たちなど皆がごく自然に接してくれ、とても快適に旅ができました。そして事故にあってから初めて「自分は障がいを持っていないのではないか」という感覚を味わえました。それがきっかけとなって、すっかり海外旅行にはまりました。その後は、ロサンゼルスへの短期留学やオーストラリアでの半年間のワーキングホリデーも体験しました。2016年に世界一周をするために仕事を辞め、それ以降は車椅子トラベラーとして活動しています。
車椅子で世界一周を経験したことで身に付いた度胸
――あなたの強みは何ですか?
一度一人で、しかも車椅子で世界一周を経験したことで度胸が身に付きました。新たなことに挑戦する際の心理的なハードルが低く、すぐ行動に移せるというのが大きな強みと言えると思います。
事故の後2年ほどは歩行機能を回復させるためのリハビリテーションに取り組んでいたのですが、それをやめてから17年間は自分の足で歩くことはほとんどありませんでした。しかし、専門家から「足、こんなに動くのに、なぜ活かしてないの」と言われたことで勇気づけられ「再び自分の足で歩こう」という意欲が湧きました。ここ1年間はリハビリテーションに取り組んでいます。その成果として、次の世界一周旅行の間に自分の足で歩く、できればペルーのマチュピチュ遺跡で歩くことを目標にしています。
「誰かの一歩」になること
――あなたの使命とは何ですか?
私と同じように何らかのハンディキャップを持つ人はもちろん、それ以外の人も含めた「誰かの一歩」になることです。私自身、旅を通じて「『○○ならばできるかも』と思ったことのほとんどは、何らかの工夫をしたり、誰かのサポート受けたりすれば実現できる」ということを体験してきました。この成功体験を多くの人と共有したいと考えています。
次の世界一周旅行の様子はInstagramでリアル配信していきます。これを通じて一人でも多くの人が、「私は○○だからできない」と、チャレンジする前からできない理由を探すのではなく、「私でもできる」と前向きな気持ちになってもらいたいと思います。
いつかは自分の子どもと世界中を旅したい
――あなたのこれからの夢を聞かせてください。
「いつかは自分の子どもと世界中を旅したい」とずっと考えていました。実は次の世界一周旅行では、最終盤のマレーシアで交際中の女性が合流しますので、そこでプロポーズをするつもりです。もう、その場所も決めてあります。
また、彼女は旅行・リハビリテーションに関わる仕事をしています。私1人では無理でも、2人でならばできることもたくさんあると思います。将来は2人で起業をして、ユニバーサルツーリズムに関わるビジネスを手掛けたいと考えています。
医療・介護職は、人の人生に寄り添い、生きる希望を与える尊い仕事
――最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。
事故を起こして入院していたときは、その後の人生に絶望して全く光が見えない状況でした。それを支えてくれたのが、ずっと私の悩みを聞いてくれた看護師さん、励ましてくれたリハビリテーションの先生でした。医療・介護職の皆さんは、人の人生に寄り添い、生きる希望を与えるとても尊い仕事をしています。まず、そのことを誇りに思っていただきたいと思います。
また、私自身が転職を経験した中で実感したのは「会社の知名度や規模など、表面的な情報で転職先を選ぶと失敗する」ということです。経営者の考え方や職場の雰囲気など、実際に見聞きしないとわからない点が仕事選びでは重要になります。手間や費用をかけてでも、その部分の情報収集は怠らずにやるようにしましょう。
そして大事なのは「違和感がないか」です。直感でいいので「なんか変だ」「ちょっと気にかかる」といったことを感じた職場は避けた方が、結果的に失敗が少ないと思います。







