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  • 自らの「特異性」を認識し、受け入れることで自分が輝けるフィールドを発見。「泳ぐ姿」を見てもらうことで、障がい者に対するバイアスをゼロに

DREAM INTERVIEW

各界リーダーへの夢インタビュー

富田 宇宙
パラ競泳選手 
パラ競泳

自らの「特異性」を認識し、受け入れることで自分が輝けるフィールドを発見。「泳ぐ姿」を見てもらうことで、障がい者に対するバイアスをゼロに

あなたのお仕事について具体的に教えてください。

パラ競泳選手です。始めたのは2013年、24歳のときです。2021年の東京2020パラリンピック競技大会(以下:東京2020大会)には視覚障がいの部門で出場し、400メートル自由型と100メートルバタフライで銀メダル、200メートル個人メドレーで銅メダルを獲得しました。現在、EY Japanという会社に所属して活動しています。普段はアスリート活動が主ですが、社内のプロジェクトに参画することもあります。

この仕事を始めたきっかけを教えてください。

3歳から水泳を習っていましたが、16歳のときに、徐々に視野が欠けていく進行性の難病が発覚しました。だからというわけではありませんが、高校卒業と同時に競泳を引退し、大学時代は新たに競技ダンスに取り組みました。

2人1組で踊るダンスであれば、視覚に障がいがあっても健常者として活動できると考えたからです。

大学卒業後は就職してシステムエンジニアとなり、競技ダンスも続けていましたが、徐々に病気が進行し、健常者として競技する上での影響が大きくなってきました。競技を無理に続けることはパートナーの迷惑になると考え、ダンスを辞めて障がい者という立場で取り組める活動を探し、パラスポーツをやってみることにしました。マラソン、ゴールボール、自転車、投擲(とうてき)など様々な競技を検討しましたが、過去に経験があることで勧誘していただいたこともあり、競泳に決めました。

当初はまだ弱視だったので泳ぐ上での不便さは少なかったものの、ダンスをするために以前競泳で使っていた筋肉は全て落としてしまっていたので、身体能力的には未経験者と言ってもいいような状態でした。そこから更に目が見えなくなっていき、泳ぐことはもちろん日常生活でも困難が増えていく中で、6年以上のブランクを埋め競技者として成長していくのは並大抵のことではありませんでした。

あなたの強みは何ですか?

「目が見えないこと」です。私は普段から「強み」という言葉を「優れている部分」ではなく「自分にあって、他人には無い部分、特異性」という意味で使っています。

世の中に完璧な人間などいません。それぞれに特異性を持っています。生まれ持ったものだけでなく、後天的な性質や環境要因も含めればなおさらです。人は誰しも自身の内外に何らかの生きづらさ、言い換えれば「障がい」を持っていると言えるのではないでしょうか。

それらを良し悪しから切り離して、自分だけの特徴、即ち強みとして認識して人生に活かす。私はそう考えることによって、パラ競泳という、自分らしく活躍できる、日々成長できるフィールドに出会うことができました。

もし日々に何の課題意識もなかったら、自分の強みを見つけることは難しかったかもしれません。本当の強みを見つけるには、自分自身と向き合い続けることが必要だったと感じているからです。また、無自覚な特異性や、周囲から認識されにくい特異性は、すれ違いを生み、生きづらさの原因になります。だから私は「視覚障がい」というはっきりとした特異性を持っていることに感謝しています。

あなたの使命とは何ですか?

残念ながら今の日本では、障がい者というレッテルを張られた瞬間から、その人は周囲から様々なフィルターを通して見られることになります。例えば、視覚障がい者は「目が見えない分、聴覚や嗅覚が優れているのだろう」などという、それぞれの経緯や能力の違いを無視したバイアスもそれです。私はそういったフィルターを無くしたいと考えています。だからイメージやバイアスを払拭するために、パラアスリートとして様々なことにチャレンジし、それを多くの人に見てもらうんです。

また、パラスポーツにはより実際的な社会的障壁を取り除く力があります。例えば以前は、視覚に障がいを持つ人がスポーツ施設を利用しようとすると「前例がなくなんとなく危険そうだから」という理由で断られることがほとんどでした。しかし現在、そのような状況は著しく改善しています。法律が整備されたこともありますが、東京2020大会の招致をきっかけにパラスポーツが普及したことが大きな要因であると感じています。パラスポーツの振興予算によって施設のバリアフリー化が進んだことはもちろん、「障がいのある人もスポーツをする」という当然のことが社会に認知されたことで、根拠のない拒絶を唱える人々が減少したのです。

社会が変化し環境が整備されれば、より多くの障がいを持つ方々がスポーツに取り組みやすくなります。競技人口が増えて競技力が向上すれば、パラリンピックのファンが増えて社会に対し更に大きな影響を与えることができます。それが、パラリンピックが持つ社会的な相互作用であり、私もそれを加速する一助でありたいと願っています。

あなたのこれからの夢を聞かせてください。

まずはパラ競泳選手として、日々成長し高みを目指すことです。もちろんパリ2024パラリンピック競技大会出場も目指しています。

もう一つは「宇宙に行くこと」です。私は自分の「宇宙」という名前の影響もあってか宇宙に対する憧れが強く、子どもの頃から宇宙飛行士を目指していました。しかし、視覚に障がいを持ったことで、その夢を諦めてしまいました。当時、宇宙はごく限られた一部の人にしか行けないところだったからです。ですが昨今、民間企業による宇宙旅行が実現し、誰もが宇宙に行ける時代が到来しました。また、ヨーロッパ宇宙開発機構が、障がいのある宇宙飛行士の募集を始めるなど、障がいを持っている人にもその門戸は開かれようとしています。既に障がいを理由に夢を諦める時代ではなくなった、ということです。自分の強みを活かすだけでなく、更なる可能性を広げていきたいですね。その第一歩として先日、航空機を用いた無重力飛行実験を行いました。

最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。

大きな決断を迫られる際には「本当に自分がやりたいことは何なのか」「自分は何をしていれば幸せなのか」という軸を大切にしてほしいと思います。私にとってはそれが「障がいを活かし、日々の成長や挑戦を通じて、自分の思いや考えを多くの人に伝えることで社会を変えたい」でした。今はその手段が水泳でありパラリンピックなんです。

新たな世界に踏み出す時にもしっかりとした軸をもっていれば、事情や状況に流されず、迷わずに力強く歩んでいけると信じています。

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