LGBTQ、介護、発達障害…誤解されやすい人たちにスポットを当て映画。「笑っていない人に笑って欲しい」 | YUMEXIA エッセンシャルワーカーのための情報サイト
エッセンシャルワーカーのための情報サイト
「ユメシア」
YUMEXIA
犬童一利
映画監督
犬童一利

LGBTQ、介護、発達障害…誤解されやすい人たちにスポットを当て映画。「笑っていない人に笑って欲しい」

あなたのお仕事について具体的に教えてください。

 映画監督です。2014年に公開された性的マイノリティーをテーマにした「カミングアウト」が長編デビュー作になります。15年に「早乙女4姉妹」を撮影し、16年の介護がテーマの「つむぐもの」で全国デビューしました。また、18年には恋人の死に向きあう男女を描いた「きらきら眼鏡」が公開されています。この4本の長編映画のほか、短編映画、ミュージックビデオなどの映像作品に携わっています。

この仕事を始めたきっかけを教えてください。

もともと、メディア関連の仕事がしたいという想いがあり、就職活動ではテレビ局や大手広告代理店などを受けましたが全て落ちてしまいました。そこで、人材サービス会社のインテリジェンス(現:パーソル)や音楽配信のUSENで2年ほど営業職として働きました。 ただ、いつからか「このままでいいのだろうか」という思いが強くなっていきました。

そこで「自分は何が好きなのだろう。何がしたいのだろう」と改めて考えてみました。高校・大学時代ともに学園祭実行委員をしたこともあり、大勢で一緒に一つのものを作り上げていくことに興味がありました。それらの中でも、映画は映像・音声・衣装・メイクなど、あらゆる分野のトップクラスの専門家が集まる総合芸術であり、完成した作品は時代や国を越えて多くの人を楽しませ、感動させることができる点に魅力を感じ、映画の道に進みたいと感じました。

しかし、それまで映画が好きで人一倍見ていたわけではありませんし、映画に携わったこともなければ、映画の業界に何のコネクションもありませんでした。そこで、まずはアルバイトで生計を立てながら、映像関係の仕事をしている人たちに「ボランティアでもいいので、何か手伝わせて欲しい」と売り込みをかけることから始めました。そうして徐々に人脈を広げ、実績を積み重ねていくことがデビューにつながりました。

あなたの強みは何ですか?

いくら私が「こういう映画を撮りたい」と考えていても、一人で映画はつくれません。様々な人の力が必要です。そのためには、自分が「力を借りたい」「一緒に仕事をしたい」と思う人や企業にアプローチをし、想いを伝える必要があります。その熱意や行動力は自分の強みだと思っています。サラリーマン時代には飛び込み営業も経験しました。誰にでも自分からアポイントを取ってどんどん会いに行くというフットワークの軽さ、物怖じしない性格はこのときに培われたと思っています。

また、映画は完成したらそれで終わりではありません。少しでも多くの場所で上映され、多くの人に見てもらう必要があります。映画祭や映画館関係者への様々な交渉事はプロデューサーが行うこともありますが、駆け出しのうちは監督自身が行うケースもあります。例えば「つむぐもの」は、介護に携わる多くの人に見てもらおうと、全国の社会福祉協議会など様々な介護関係の団体や集まりに自主上映会の開催を提案してきました。「上映会+監督トークショー」のような形のイベントがあれば、どんなに遠方でも足を運びました。

あなたの使命とは何ですか?

「映画を通して世の中を笑顔にすること」です。とは言っても、私の作品はハリウッドで製作するような超大作ではありませんし、観客が大笑いするようなコメディでもありません。「カミングアウト」も「つむぐもの」も、日頃はあまり日が当たらなかったり、世間から誤解をされたりしている人たちが主人公です。こうした人たちに光が当たり、社会に理解や共感が広まることで、見た人や関係者の心の中に笑顔を灯したいと思います。「笑っていない人に笑って欲しい」と映画製作の際には常に考えています。

あなたのこれからの夢を聞かせてください。

次回作は脳や心の見えづらい不自由さや障害をテーマにしようと考えています。

「カミングアウト」でテーマにした性的マイノリティーも、「つむぐもの」のテーマの一つである介護の仕事も、次回作の脳や心の不自由さのことも、世間にはそれに対して偏見を持っていたり、誤解をしていたりする人が少なくありません。それらが原因で辛い想いをしている人がいると思います。私自身も偏見や誤解を多くもっていました。しかし、多くの関係者に話を聞くなどするうちに、それらに気づき、「映画にして多くの人に伝えたい」という想いがでてきました。先入観や偏見、誤解の先には様々な気づきがあり、それが私の心を動かし、脳みそを広げてくれて、新たな映画のテーマとなります。テーマは日々の生活のすぐ隣にあるはずなのですが、視野が狭く気づいていないケースも沢山あるかと思います。これからも、1人でも多くの人に会い、視野を広げ、いい映画を産み出していきたいと考えています。

最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。

実は、私自身が2021年に壁にぶつかってしまっていました。日々色々と考える中で気がついたのが「不安・不満がある裏には、必ず欲望・欲求がある」ということです。転職を検討しているということは、現在の環境に何かしらの不安・不満があると思われますが、単に「不満だから辞める」のではなく、その裏にある欲望・欲求が何なのかをしっかりと見極めることが大切なのではないでしょうか。「家族」「時間」「やりがい」「お金」など、本当に大事にしたいものは人それぞれで違います。転職サイトを見ているのは「なりたい自分」に向けて半歩を踏み出した状況と言えます。残りの半歩を良い方向に踏み出すための自己分析をするきっかけになるとよいなと思っています。

OTHER INTERVIEW
大阪府柏原市市長 冨宅正浩
「日本一災害に強いまちづくり」目指し、柏原市の舵取りに日々奮闘!ケースワーカーの経験が「一人ひとりの声を聞く政治」の原点
冨宅正浩
大阪府柏原市市長
パラ競泳
自らの「特異性」を認識し、受け入れることで自分が輝けるフィールドを発見。「泳ぐ姿」を見てもらうことで、障がい者に対するバイアスをゼロに
富田宇宙
パラ競泳選手 
とっぴー社長
目指すは現代版の「めぞん一刻」管理会社と住人の「顔が見える」マンションづくりを通じて、地域ぐるみで元気に、ハッピーに
豊田泰隆
株式会社KOTOYA 株式会社e‐建物管理 代表取締役
Read More
犬童一利
LGBTQ、介護、発達障害…誤解されやすい人たちにスポットを当て映画に
「笑っていない人に笑って欲しい」
犬童一利
映画監督
佐々木淳
その人の「より良く生きる」を支えるのが医師の役目
2035年までに全市町村に在宅医療体制の構築を目指す
佐々木 淳
医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長
認知症に関する正しい知識や対応方法を1人でも多くの人に
アウトプット力重視した人材養成で 介護職の存在が地域の安心につながる社会に
渡辺哲弘
きらめき介護塾代表取締役 一般社団法人きらめき認知症トレーナー協会代表理事
大学生のときに介護ロボットメーカーを創業
テクノロジーの力で介護スタッフやケアラーの負担を減らし 笑顔に
宇井吉美
株式会社aba 代表取締役CEO
「日の当たらない」「自信がない」人こそが社会の主人公
漫画の力で1人でも多くの人を明るく・元気に
くさか里樹
漫画家
「歌うこと」は、人と人の心を結びつける最も簡単なツール
「上手く歌える」喜びを多くの人に体感してもらい、社会を豊かに
柳光絵
カラオケ100点ボイストレーナー・モテ声プロデューサー