――あなたのお仕事について具体的に教えてください。
「理学療法士パフォーマー」を名乗っています。「チャンミカ」は学生時代からの私のニックネームです。現在、リハビリテーション専門職としての知識を活かし、地域の介護予防教室で年間150回程度講師を務めるほか、介護・福祉系のイベントでのフレイル予防のための運動パフォーマンス披露、各種SNSでのエクササイズ動画の配信といった活動をしています。パフォーマンスは「自然と身体が動き出すように」という点を意識し、シニアの方になじみのある音楽を使用するなどエンターテイメント性が高いのが特徴です。また、介護施設を中心とした機能訓練、レクリエーション支援ツール「健康王国DX」のスペシャルサポーターも務めています。
加えて、モデル事務所、MC事務所にも所属しており、介護・福祉にこだわらず広くイベントの司会進行なども行っています。
参加者からの意見がきっかけに
――この仕事を始めたきっかけを教えてください。
理学療法士を目指していた学生のころから「介護やリハビリテーションが必要な状態にならないよう、早い段階から身体作りをすることが重要だ」という考えを持っていました。卒業後は愛知県でデイサービスなどを運営する介護事業会社に就職しました。その会社は自治体から住民の一般介護予防事業を受託していましたので、地域のシニアの方に向けた介護予防教室の講師として活動を始めました。キャリアは12年になります。
それ以外の活動の比率が多くなった今も、その会社の正社員として勤務しています。二足のわらじを履いて活動している介護専門職は多いですが、その中でも珍しい働き方だと思います。
以前は、ごく普通に介護予防の効果などを説明しながら体操をしていました。ところがある日、参加者から「あなたの話はためになるけれど、聞いていて面白くない」と言われてしまいました。「せっかく時間を割いて参加してくれているのだから、もっと楽しいと感じてもらえる時間にしなくてはいけない」と反省し、聞き続けてもらえるだけの話術を身に付けるためにMCを専門的に学ぶことにしました。同時に、立ち居振る舞い、所作、衣装なども「見て楽しめるものかどうか」を強く意識するようになり、次第に現在のパフォーマンススタイルが確立されていきました。
尊敬や感謝の念などを目に見える形でしっかりと表現
――あなたの強みは何ですか?
シニアの方への尊敬や感謝の念などを実際のパフォーマンスという目に見える形でしっかりと表現できている点です。
先ほどの話とも少し重なりますが、同じ介護予防のための運動でも、こちらの表現方法次第で相手が受ける印象は全く違います。その結果、運動に取り組む姿勢や実際の身体への影響も大きく異なってきます。残された人生の時間を考えても、シニアの方の1時間は私たちの1時間よりもずっと貴重なものです。その1時間が退屈なものであったり、無意味なものであったりしてはいけません。そして、シニアの方は私たちよりもずっと多くの人生経験を重ねていて「本物とは何か」ということを知っています。そうしたシニアの方を相手に、レベルの低いパフォーマンスを提供するのは失礼に当たります。
「この人のパフォーマンスなら、自分の貴重な1時間をあげてもいい」「チャンミカだから遠くても、忙しくても足を運ぼう」と思ってもらえる満足度の高いパフォーマンスを提供しようという意識は、誰よりも強いと思っています。
生きがいを持つシニアの方を一人でも増やしていく
――あなたの使命とは何ですか?
「明日の朝、起きるのが楽しみ」と思えるような生きがいを持つシニアの方を一人でも増やしていくことです。年齢に関係なく仕事や趣味、社会活動など、自分の好きなことに打ち込んでいる姿は美しいものです。残念ながら、高齢社会や高齢者そのもの、高齢期の生活などに対する世間一般のイメージは決してポジティブなものとはいえません。しかし、そうした魅力的なシニアの方の様子を多くの人が知ることができれば、ネガティブなイメージの払拭になり、年齢を重ねることを前向きに考える人が増えていくと思います。
シニアの方が自分の好きなことに打ち込むためには、まず「身体が元気であること」が不可欠です。その点は私が理学療法士パフォーマーとして、これまでどおりサポートをしていきます。また、私自身が芸能界にも身を置いていますので、魅力のあるシニアの方とユニットを組んで活動するなどして、世間に向けた発信をしていくことも可能なのではないかと考えています。
「老害」など残念な風潮に歯止めをかけていきたい
――あなたのこれからの夢を聞かせてください。
まずは、私自身が今の活動に力を入れて少しでも有名になることです。私が有名になることは、私が大切にしているシニアの方を尊敬、感謝する気持ちが社会に広がることにつながります。最近は「老害」という言葉に象徴されるように、シニアの方の意見や行動を否定しがちな社会になっています。そうした残念な風潮に歯止めをかけていきたいと考えています。
初めから選択肢を狭めずに新たなことにどんどん挑戦してほしい
――最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。
何かにチャレンジしようとするときに「今の自分の仕事や趣味に関係があるなど、少しでも知識や経験が活かせる分野から手を付けよう」と考える人は多いと思います。確かに、それも一つの考え方ですが、「敢えて今の自分とは全く関わりのない分野に挑戦する」ということも考えてみてはいかがでしょうか。
私自身、理学療法士からMC・モデルと全く畑違いの分野へチャレンジしました。今にして思えば、ずいぶんと思い切った選択でした。しかし、結果として、その選択が現在の私につながり、それまでは考えられなかったさまざまな可能性、人生の選択肢が開けました。一見すると全く関係なさそうな分野であっても、最終的には自分の仕事につながることもあります。初めから選択肢を狭めずに、新たなことにどんどん挑戦してもらいたいと思います。
また、挑戦の過程では、失敗して人から叱られたりすることもあるでしょう。その際に落ち込むのではなく「自分を変えて、見返すチャンスを与えられた」と前向きに考えていくことも大切です。







