――あなたのお仕事について具体的に教えてください。
群馬県高崎市で、小規模多機能型居宅介護事業所や地域密着型デイサービスを運営するアイ・ウィッシュという会社の代表取締役です。会社は今年で15年目になります。
研修講師や講演活動など、介護や介護の仕事について「伝える」活動も積極的にしています。研修や講演は年間150回程度行っています。2023年から2024年にかけて「50回全国チャレンジツアー」を掲げ、各地の介護業界の仲間から招かれて全国をツアー形式で講演し、50回で約4000名の方々が参加してくれました。また、福祉系列がある群馬県内の5つの高校でも非常勤教員として教壇に立っています。
祖母に何かあったときには自分が選択肢になれるように
――この仕事を始めたきっかけを教えてください。
20歳のときに祖父が亡くなるのですが、このときに「自分が何もできなかった」と激しく後悔したことが、介護・福祉の道に進むきっかけになりました。学校に通いながら介護現場でアルバイトをし、新卒で医療法人に就職しました。また、30歳から2年ほど教員として福祉を教えていました。
教員時代は、卒業する生徒を「持っている資格にとらわれずに、自分のやりたいことをしていいんだよ」と送り出していました。しかし「そういう自分自身は、果たして本当にやりたいことをしているのだろうか?」という疑問を感じるようになりました。
祖母はまだ元気でしたので、「祖父のときは何もできなかった。せめて祖母に何かあったときには自分が選択肢になれるように」と考えました。また、小さい頃から可愛がってくださった人たちが多く住んでいる地元に恩返しをしたいという気持ちもあり、自分で介護事業所を運営することにしました。
対話を通じて相手の気持ちを引き出し前向きな気持ちへ導く力
――あなたの強みは何ですか?
例えば、介護サービスのご利用者に「何かやりたいことはありますか」と直接尋ねても、なかなか明確な答えは返ってきません。介護職は日常的な会話などの交流の中で、その方の性格や人生観、趣味、これまで歩んできた人生などを自然に聞き出すことで「心の中で『やりたい』と思っていること」を理解し、こちらから提案もできます。この提案に対しては、ご利用者は主体性を持てることで、その実現に向けた取り組みなどにも積極的になります。
こうした対話を通じて、相手の気持ちを引き出し前向きな気持ちへ導く力に長けていると自負しています。
これは、スタッフの育成についても同様です。スタッフ一人ひとりは介護の仕事について、しっかりとした「想い」を持っているはずです。しかし、多忙だったり何か失敗をしたりすると、それを忘れてしまったり諦めてしまいがちです。対話を通じてそれぞれの想いを再認識させ、仕事に向き合えるようにできるのが私の強みです。
経営する事業所ではスタッフの離職率は10%を切っていますし、離職理由も「やりたいことへの挑戦」など前向きなものが多いです。
「福祉」「出会った人」へ恩返し、恩送りを
――あなたの使命とは何ですか?
2つあります。私は、祖父の死や、その後の介護の仕事を通じて「人生は一度きり、人はいつ死ぬかわからない。だからこそ『どう生きるかが大事』だ」「今があるのは当たり前ではない。今の自分に関わるすべてのヒト、コト、モノとの出会いに感謝しよう」という考えに至りました。これが「自分らしく生きることは福祉が教えてくれた」という私の講演の大きなテーマになっています。この考え方を一人でも多くの人に伝え、「福祉」「出会った人」へ恩返し、恩送りをすることです。
2つ目は「地域のつながりを育む」です。近年は人口減、特に少子化で地域の人たちが世代を超えて交流できる場が少なくなっています。地域コミュニティの活性化は、防犯や防災など様々な面で大きな効果をもたらします。私の運営する事業所には地域交流スペースがあり、地域住民が運営する学習支援の場や、誰もが気軽に食事をとれる「みんなの食堂」などの場として活用されています。こうした住民たちの出会い、触れ合いの機会を数多く設けていきたいと考えています。
それ以外にも、人口減少で途絶えていた地域の盆踊りを復活させるプロジェクトのメンバーとしても活動しています。4年前に縁日を復活させるなど、少しずつですが結果が出ています。こうした地域住民が主体となる地域再生のロールモデルを確立させて、全国に広めていくことで日本全体を元気にしていきたいと考えています。
夢を持つ人を応援したい
――あなたのこれからの夢を聞かせてください。
自分自身の夢を叶えるということよりも「夢を持つ人を応援したい」という気持ちが強くあります。人が喜んでいる姿をみるのが昔から大好きでした。夢を追いかけて行動する人、何かに挑戦しようとする人に、行動のきっかけを作るサポートができたり、背中を押してあげたり、人を繋げることをして、一歩でも夢の実現に近づけてあげることが、今の私の夢と言えるかもしれません。また、誰かのために動く私のチャレンジする姿が、結果的に誰かの背中を押すことになればと考えています。
あなたの人生の主役はあなた自身
――最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。
最近は失敗を極度に恐れ、情報過多の中では「いかに失敗しないか」を行動する際の判断材料にしている人が多いと感じています。しかし、道に迷ったときに思いがけず出会えることや人など「失敗したときにしか見えない景色」も沢山あります。
人が本当に変わることができるのは「後悔したと感じたとき」か「失敗したと感じたとき」が多いと思っています。うまくいかなかった経験が成長につながります。また「成功体験の積み重ねが大事」と言いますが、100%成功し続けられる人はいません。沢山の成功体験の裏には、同じぐらいの、いやそれ以上の失敗体験があります。どんどん失敗していきましょう。
人生は一度しかありません。「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」を判断基準にして、後悔の無い人生を送るためのチャレンジをして下さい。
「あなたの人生の主役はあなた自身です!」







